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ぜんぶ二人ではじめて

第38章 ギリギリ……

「ナナちゃん、大丈夫?」

「はぁぁ……怖かった……」

「かっこ良かったよ、ナナちゃん。」

……押し倒されて、ドキドキした?

なんて聞けない。

「ヤスくん。」

ナナちゃんが歩み寄り、胸にポスッと頭をつけた。

「ナナちゃん……ごめんな。あいつ、昌樹の弟なんだ。」

「そう……」

「びっくりしたよな。」

「うん。……ヤスくん、ゴメンね。私……さっき、押し倒されて……ドキッとしちゃった。」

潤んだ瞳で訴える。

「そっか。……まぁ……仕方ないけど……くそっ!ムカつくぜ。」

俺はそのまま、ベッドに押し倒した。

「俺以外にドキッとしたお仕置き。」

禁欲中なのに……

「でも、一瞬だよ?」

顔を真っ赤に染めながら言う。

「一瞬でも十分ムカつく!」

「ごめんなさい。」

「いや、いいんだよ。わかってる。誰だってあんなことされたら……。だけど、俺、自分でも呆れるくらい、やきもち妬きみたいだ。目の前で……キスされるかと思った。」

そしたらマジでぶん殴ってたかもな。

ナナちゃんの前髪を右手でかきあげる。

おでこに、チュッ……

「ヤスくん……」

頬に、チュッ……

「消毒。」

「何もされてないよぉ。」

頬を染めながら、瞳を潤ませながら、訴える。

「和樹が見ただろうところは消毒する。」

そう言って、唇にチュッ……

柔らかいなー。

ハムッて食べるみたいに、

「チュッ……」

音を鳴らした。

体を少し離して、ナナちゃんを見つめる。

「ヤスくんとのドキドキはすごく気持ちいい。」

ナナちゃんが言う。

「ドキドキしてる?」

「うん。いっぱい。」

視線を下に落とす。

「な!ナナちゃん!」

ブラウスからおっぱい見えそう……

これ以上はマズイ……

もうすぐ俺の誕生日。

その時だけ解禁だから。我慢!我慢!

「何?」

必死で言い聞かせているのに、可愛い声で言う。

体を離して、

「……ボタンとめて?おっぱい……見えそう……」

後ろ向きながらそう伝えた。

「ごめん。」

別のことを考えよう。

「飯、食おうぜ。」

「あ、うん。」

我慢!我慢!我慢!

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