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ぜんぶ二人ではじめて

第38章 ギリギリ……

それから昌樹くんはすぐに彩月ちゃんのところへと、自転車で向かった。

私とヤスくんもバスで向かった。

今日のバスは混んでる。ぎゅうぎゅう詰め。

ヤスくんが私が周りの人たちから押されないようにと、庇って立ってくれてる。

「ヤスくん、ありがとう。」

「何が?」

なんて、さも当然のような素振りが嬉しい。

私の隣に立っていた学園中等部生が、ヤスくんの隣に立っている男の人に痴漢されてる。

さっきから気になって仕方がない。

ヤスくんに言うべき?

ガタンッ!

バスが揺れる……その拍子にヤスくんの腕に捕まった。

「大丈夫?」

「うん。ごめんね。」

痴漢行為はまだ続いてる。

スカート半分、完全に捲られて、男の人のアレをおしりにグイグイ押し当ててる!

ズボン越しだけど……

中学生は体をひねったり、咳払いしたり……

やっぱ、助けてあげた方が良いよね?

女子中学生の顔があんまりよく見えなくて……

って!あれ?

「美月ちゃん?」

「え?美月?どこ?」

ヤスくんが反応する。ヤスくんからはちょうど、ポールの影になってたみたい。

「ヤスくん!」

私は耳打ちすることにした。

「ん?」

ヤスくんがふわっと近づく。

「美月ちゃん、ずっと痴漢されてる。」

「マジ?」

「うん。ヤスくんの隣の男の人、ずっと美月ちゃんのおしりに押し付けてるの。ここから見える。」

「分かった。さりげなく話しかけるから、止めたかどうか教えて?」

「うん。」

そして、ヤスくんが、

「あれ?美月。おっす。」

話しかけた。

「ヤス……兄……。」

痴漢はまだ続いてる。

「美月ちゃんも彩月ちゃんとこ行くの?」

「七海ちゃん……お久しぶり。」

「このバス、痴漢多いらしいから、美月も気を付けろよ。」

わざと少し大きな声でヤスくんが言う。

そしたら、痴漢行為そのものは止めた。

でも、次の瞬間、いきなりオチンチン丸出しにして、しごきはじめた!

「や!」

私が目を背けて、ヤスくんの胸に寄り添った。

「どうした?」

「痴漢してた人、痴漢止めたけど、一人でしてるの。」

顔を背けたままヤスくんにこっそり話す。

「美月、こっちにおいで?」

ヤスくんが誘導して、半時計回りに一人ずつずれた。

美月ちゃんが涙を溜めて、ヤスくんを見上げる。

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