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ぜんぶ二人ではじめて

第38章 ギリギリ……

公園のベンチで話して、だいぶ落ち着きを取り戻した二人……。

そろそろ彩月のとこに行くかって話して、立ち上がった、ナナちゃんと美月。

ナナちゃん、今日、調子悪いからな。ここから3キロくらい歩かなきゃならない。心配だな。

なんて思ってたが、美月がよろけて、思わず、

「大丈夫か?」

倒れないように美月の体を片手で支えた。

「あ、ありがと。」

少し、頬が赤くなった気がした。

「気を付けろよ。」

「うん。今日のお礼、近いうちにちゃんと二人にするからね。」

「おぅ。期待しないで待ってるよ。」

俺がそう言うと、

「そこは期待しといてよ!」

と、突っ込んだ。

「フフフ。」

ナナちゃんが笑う。

本来、美月は天真爛漫な明るい性格だ。

まぁ、彩月もそうだが、金田家は明るい人間ばかりだが。

だから、美月が一人で悩んでたなんて、相当だと、思った。

少しずつ、歩き始め、美月がまた痴漢の話をしてきた。

「ねぇ、さっき、七海ちゃん、他の男の人のって言ったよね?」

何が聞きたいんだろう?

「うん。」

ナナちゃんが答える。

「他のってことは、ヤス兄のはもう見てるってこと?」

「それは……」

ナナちゃんが話せずにいる。

「見てるよ。付き合ってんだから、当たり前だろ。」

俺が答えた。

「えー?じゃあ、もう、そういう関係ってことなの?」

美月が真っ赤になりながら聞く。

「そ。今は生殺し状態だけど。」

また俺が答える。

「大人の関係なんだ。」

「最近の中学生はそういうこと、ちゃんと知ってるんだな。」

なんて、感心してみる。

「そりゃぁ、習うし。結構リアルに習うから、だいたい分かるよ。」

「そうなんだ。」

ナナちゃんは教科書通りじゃ分からないって言ってたけどな。

興味の度合いの違いか?

そんな話をしていたら、ナナちゃんが少ししんどそう。

「大丈夫?ナナちゃん。疲れた?」

「あ、うん。ちょっと……」

「おんぶしようか?」

「恥ずかしいから良い!」

さすがに美月見てる目の前では、抵抗あるか。

あと、300メートルくらいなんだけどな。

そこにちょうど、昌樹がチャリで通った!

「あれー?美月も一緒?病院前までバス乗らなかったの?」

「あぁ。昌樹、悪い。お前、美月と歩いてきて?ナナちゃん、疲れちゃって……」

「了解!」

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