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ぜんぶ二人ではじめて

第39章 解禁日

「お行儀悪いけど、テレビつけても良い?」

と、ヤスくん。

「いいよ。何観たいの?」

「野球。」

「どうぞ。」

「ありがとう。」

もう、ヤスくんの頭の中、野球だらけ!

思わず笑いを堪えた。

「あ。この鰤照り、うっま!」

「ヤスくんは、ホントに美味しそうに食べるね。」

「ホントにウマイからね。」

「ありがとう。」

「この前、美月が円香と何か作ってくれたんだけどさ……。すげー微妙だった。」

「何かって?」

「回鍋肉!?」

「え?下味から全部?」

「わかんねーけど、多分、そうなんじゃん?ヤス兄食べてねって。言われてさ。」

「ちゃんと食べたの?」

「そりゃー、ウマイって言って頑張って食ったよ!一生懸命作ったんだしなって……しかし、酷かった……。今度あいつらに料理教えてやって?」

「うん。それは全然良いけど……」

ヤスくん、美月ちゃん、もしかして、ヤスくんのこと好きなんじゃない?

なんとなく、それは言えなかった。

「あぁぁぁ!なんで振るんだよぉ!」

ビクッ!

なんだ、野球か。

ビックリした。

「あ。ゴメン。急に。」

「良いよ。」

「ご馳走さまでした。」

「お粗末さまでした。」

ヤスくんが夢中になって野球を観てる間に、後片付けをした。

途中から一緒になって楽しく観戦した。

「野球終わってからお風呂にする?」

CMの時に話しかけた。

「ん?それでも良い?」

「良いよー。気になるでしょ?流れも結果も。」

「あぁ。サンキュー。」

少し離れて座ってた。

あと少し近くなると、我慢できなくなりそう……

私はさっきからヤスくんに抱きつきたくて、キスしたくて、ウズウズしてる。

それを悟られないように、野球の続きを観た。



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