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ぜんぶ二人ではじめて

第39章 解禁日

side 泰宏

ナナちゃんが作る夕御飯……とっても美味しくて、思わず先日、円香が美月と初めて作ったという、回鍋肉を仕方なく食べた話をした。

食べ終わったあと、俺が頑張って食べたことを何となく察し、

「絶対、おいしいって食べてもらいたい!また作る!」

そう言ってたことを思い出した。

美月、好きなやつでも出来たか?!微笑ましいな。見守ろう。

ズキッ…



自分の考えに胸が痛んだ。

「ヤスくん、どっち応援してるの?」

後片付けを終えたナナちゃんが俺が座るソファーの隣に座る。

「今、攻撃してる方。」

「そうなんだ。」

「ナナちゃんは野球、何でルール知ってるの?」

「うち、父さん、叔父さん、じぃじ、じーちゃん、みんな野球大好きなの。小さい頃、観戦に球場まで行ったことあるんだよ。」

「そうなんだ!みんな野球やってたの?」

「そうらしいよ。だからヤスくんが野球部入ったの、すごく嬉しいって言ってたよ。」

「そっかー。なおさら、頑張ろう!」

何だか、座ってる距離が微妙だ。

きっと、くっついたら俺は我慢できない。

その場に押し倒してでも、押さえつけてでも……

なんて考えてしまう。

でも大事にしたい…それも本当。

いくら解禁日だとは言え、毎度毎度、ドS要素満載じゃ、ナナちゃんは優しさを感じられないだろう。

俺なりに一生懸命、ナナちゃんが幸福感で満たされるよう、考えてた。

「おっと!ファールかよ。」

最後の攻撃だ。

0-0

さっきから残塁ばっかだ。

今は3塁に走者がいる。

このままだと、延長もあり得るなー。

なんて思ってたら、

「おぉぉ!センター前!しかも俊足、原田だ!行けー!滑り込めー!」

「わー!速い速い!すごい!」

ナナちゃんも興奮ぎみだ。

『セーフ!』

テレビが伝える。

「やった!」

「すごーい!勝ったね!」

そう言って、二人でハイタッチ。

喜んで、抱き合った。

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