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ぜんぶ二人ではじめて

第40章 関係性

side 泰宏

「もしもし?警察ですか?…近所で親しい友人の妹が、強姦に襲われそうになって……未遂ですみましたが。二人組のニット帽をかぶった男です。すみません。俺も咄嗟にどう助けたら良いか考えてたのですが、バットで主に脚を殴りました。今は気を失っています。二人とも結束バンドで手首と足首を結びました。まだ目覚めてません。はい。分かりました。早めにお願いします。あ!サイレン、消して来てください。犯人たちが起きたら面倒なんで。お願いします。」

そう言って電話を切った。

ナイフをハンカチでくるんで取り上げ、念には念をと、ロープで二人をグルグル巻きに縛った。

「よし。美月、着替えよう?!」

「う、ん。」

美月は立てずにいた。

失禁もしてた。気がついてない様子だから、触れないでおくけど。

もう少し早めに助けられてたら…

そう思っても仕方ないことだと思うけど、やっぱ考えてしまう。

「…美月…大丈夫か?」

そう言って、美月の目の前に座ると、

「いや…やぁぁぁ!怖い怖い怖い!」

フィードバックさせてしまったか?

「ごめん!美月!俺だよ。泰宏だよ。大丈夫…俺は何もしないよ。美月…落ち着いて…美月…」

バスタオルの上から、ギューっと抱き締める。

落ち着くまでそうしてる。

ガタガタ震える美月の体…

ごめんな、美月…

ピンポーン…

「あ。警察だよ。美月。ドア開けないと。」

そう言って離れて、対応する。

「こんにちは。警察官の新井です。貴方が通報してくれた方?」

女性警察官だ。良かった。美月も安心するだろ。

「はい。…犯人たちはこうしてここに縛り付けています。すみません。やり方が手荒だったかもしれません。」

「分かりました。とりあえず、犯人確保しますね。」

そう言って、新井さんは男性警察官を連れてきて、手錠かけて、二人を起こそうとした。

「起こさないでください!そのまま連れてっていただけませんか?美月がまたパニックになってしまうかもしれなくて…」

そう伝えたら、男性警察官が、

「それは失礼。このまま連れて行きます。勇敢だったね、君。彼女、今はツライだろうけど、未遂で済んだのは君のおかげなんだから…まぁ、支えてやりな。」

そう言って乗用車に乗った。

新井さんが優しい声で話し始めた。

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