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ぜんぶ二人ではじめて

第4章 晃くんが分からない

ドキドキしすぎて、おかしくなりそう。

「市川、俺とカレカノになってよ。」

見つめる視線が痛い。

想像してみる。

晃くんの彼女だったら……

でも、やっぱり、違う……

晃くんの隣にいる自分が想像つかない。

「晃くん……ごめんなさい。」

それだけ言うと、

「そっか。……でも、片想いしてる分には問題ない?」

キュッと唇を噛み締めたあと、聞いていた。

また……

「……良いけど、それって、辛くないの?」

気になってたから聞いてみた。

「仕方ないじゃん。バーチャルでも何でも良いよ。現実動かないなら、そういう世界で楽しむから良いよ。」

???

「そう。」

足が立ってるのがやっと……

お断りするのって、体力いるんだなー。

「じゃ、市川、また明日な。」

「うん。」

そう言って、目の前から晃くんがいなくなった。

部室に入って行くのを感じ取って、大きく深呼吸した。

「大丈夫?」

泰宏くんが晃くんの立ち位置にいた。

声が遠くに聴こえる。

おかしいな。

「……うん。ちょっと疲れただけ。」

そう思ったから素直に応えた。

「帰れそう?」

「うん。」

一歩歩き始めたが、緊張していたからか、足が思うように進まない。

「あっ。」

もつれて声が出る。

「寄りかかって良いよ。」

そう言って、腕を差し出してくれる。

部活帰りの人がまだちらほらいるから、恥ずかしくて、甘えられない。

「大丈夫だよ。ありがと。」

「帰れる?」

「ゆっくり歩けば……」

「ムリそうだったら捕まってね?」

「う、うん。」

泰宏くんのたくましい腕と胸を思い出す……

数歩ゆっくり歩いた。

大丈夫そう……!

そう油断した瞬間、やっぱり足がもつれた。

「あ。……ごめんね。」

そう言って、制服の裾を掴んだ。

「……良いよ。」

泰宏くんの頬が赤い。

くっつくの……ドキドキする。

もう……私の心臓、故障寸前だよ。

だけど、泰宏くんとのドキドキは、どうしてかいつも心地良い……

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