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ぜんぶ二人ではじめて

第41章 誓って…

竜一くんと目が合うかと思ったのに、竜一くんは、私が振り向くのと同じタイミングで目をそらした。

私の気持ちを無視することはしない…

そんな思いやり全開の言葉にドキドキが止まらない。

「ありがとう、竜一くん。」

優しい雰囲気で、竜一くんが一瞬私を見た。

夜みたいに暗くしてた雷雲はどこかに行ったようで、停電も解除され、パッと辺りが明るくなる。

外を見ると、雨は上がってた。

「チャリで送るよ、市川。じいちゃんちまでで大丈夫?」

「うん。それは大丈夫。でも、一人で歩いて帰れるよ。」

さっきは雷が鳴ってたから、二人乗りしてても平気だったけど…今度はそうはいかない気がして、断った。

「じゃあ、歩いて送るよ。」

「そんなの申し訳ないよ。」

「もうすぐ夕暮れだし。それに俺には市川を護る義務がある!山道を女一人で歩かせられない。もし、隣合わせて歩くのが嫌なら、後ろからついて行かせてよ。」

真剣な表情で言う。

「竜一くん、往復させちゃうの、悪いよぉ。」

「俺はどうにでもなるから。」

「どうにでも?」

「あぁ。そんなに気を使うほどの距離じゃないだろ?」

そっか。それを聞いて安心した!良かった。

「今一番問題なのは…」

竜一くんが続ける。

「?」

「この状況!」



「え?なんで?」

急なこととは言え、自宅にあがってほしくなかったのかな?

「俺の気持ち、知ってるだろ?」

私のことを…

「…うん。」

「市川の気持ちを無視することはしたくないけど、自分を押し込めるのも大変なんだよ。」



「?」

困ったような表情で、だけどどこか包みたくなるような雰囲気でそう言ったけど、私にはよく分からない。

「だから…えーっと…まぁ…雨止んだしさ。じいちゃんたち心配するんじゃない?」

なんか誤魔化されてる気がするけど…それで良い気がした。知ってしまうとダメな気がした。

「あ…うん…。」

じいちゃんたちそろそろ帰ってる途中かな?

「一緒に歩くの嫌だ?」

「ううん。」

「チャリ2ケツが嫌だ?」

「あ。うん。嫌というのとは違うけど…」

「分かった。じゃあ、歩いて行こう?」

「ほんとにいいの?」

「良いんだよ。」

やんわりとした物言いに甘えたくなる。

乾燥機も終わって、着替えて、玄関を出た。

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