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ぜんぶ二人ではじめて

第43章 疑念

side 泰宏

誕生日を祝ってもらって、美月に対して好きな気持ちに気がついてしまった俺は、ナナちゃんに連絡ができないでいた。

救いなのは、家族と過ごすという言葉。

邪魔しちゃ悪いと思って連絡が来ないんだって思ってもらえたらラッキーだ。

なんて、逃げてるだけだ…

美月と円香がチャリで学園に行くと言うので、俺と昌樹も一緒に行くことにした。

目の前を昌樹と円香がそのすぐ後ろを俺と美月が。

車道側にはなるべく俺がいるようにして進む。

「子どもじゃないんだから平気だよぉ。」

そう言う美月に、

「男がこっちって決まってるんだよ。」

そう返した。

学園に着いて、クラスを確認する。

ナナちゃんとクラスが離れた。

新しいクラスに鞄を置いて、ナナちゃんのクラスに顔を出す。

ナナちゃんに挨拶したが、いつも通りで拍子抜け…

俺とクラスが離れても平気…か。まぁ、その方が都合が良い。なんて…嫌なヤツだな、俺。

始業式は講堂で執り行われる。

新しいクラスの担任発表は毎回ざわつく。

俺のクラスの担任は水原佐和子先生。前からいた先生だけど、関わるのは初めてだ。つーか、俺、女の教師に見てもらうの、小1以来だ。

わりとキレイな顔立ちで、歳は多分、25くらい。

俺らと8コ差か。

ナナちゃんのクラスの担任は目が切れ長で、顔はベース型。インテリ風ってやつ?よく分からんが。

昌樹が後ろを向いて俺に話しかける。

「七海ちゃんの担任、めっちゃロリっぽくない?」

え?そんな風に見てなかった。けど、たしかにそう見えなくもない。

「あぁ。そうだな。」

俺はそれだけ答えた。

「いやいや。そうじゃなくて!マジで最近おかしいよ?大丈夫?」

意味不明な返しに少しムッとする。

「何が?」

「七海ちゃん!狙われそうじゃない?そう感じない?」

そんな昌樹の一言でハッとして、ナナちゃんに目を向ける。

ナナちゃんの隣は竜一くんだ。

「気をつけるよう伝えないとな。」

竜一くんがナナちゃんに何か話してる。

「親衛隊は気がついてるね。さすが。」

昌樹の所から輝くんと晃くんがナナちゃんの担任について昌樹と同じ見解を話している声が少し聞こえた。

俺、やっぱだめだな。もう。

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