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ぜんぶ二人ではじめて

第43章 疑念

side 七海

ドキドキ…隣に座っているだけなのに、聴こえちゃいそう。

たくさん待たせてるのに、こんなに竜一くんのことが好きなのに…

抱き合うことだけを赦すなんて…

本当は、私の方こそ、もっと強く抱き締めてほしいし、キスしたい!

そんなこと言えない。

待っててほしいって私が頼んでるんだもん。

ちゃんと別れてから…それが今は大切だから…

分かってる。

竜一くんのそーゆー考え方、好き!

テレビをつけた。

内容なんて、全然分からない。

竜一くんの隣で熱を感じてる。

座り直したときに、手と手が触れ合った。

ドキンッ!

ドキドキ…ドキドキ…

見つめ合ったら…何か始まってしまいそう…

でも、私、竜一くんが好き!

「市川…絶対先に進まない!」

「…?」

「…抱き締めたい!」

「あっ…」

引き寄せられて、ギュッて…

ドキンッ!ドキンッ!…

何度目だろう。

何度抱き締められても、竜一くんの体温が好き。

どんどん好きになってくのが、分かる。

公園の時より力強い。

「市川…抱き締めるほど、市川のことが好きだって思い知る。」

「私…もだよ、竜一くん…。信じてもらえないかもしれないけど、…同じ気持ちだよ。」

そう言った。

「信じるよ。だって…市川、ものすごくドキドキしてるじゃん。」

「うんッ!」

「俺は待てる。市川の未来が待つことで手に入るなら。」

抱き締めて…

もっと…

ギュッ…

竜一くんの背中に回してた手でシャツを掴む。

「ありがとう…竜一くん。」

そっと離れると見つめ合う。

どうして、竜一くんの鼓動も体温も、ドキドキするのに懐かしさが込み上げてくるの?

竜一くんのこと、そんなに知らないはずなのに、心に寄り添えば護ってくれて、信じていられる。

私たちは何度も何度も抱き締めあった。

2時間くらい、2人の時間だった。

最後に抱き合った時、離れて目を合わせると、自然と目を閉じて、キスしてほしいと思った。

フワッと近づいた竜一くんは、頬に…

ちゅっ…

「危なかった…口にキスしそうになっちゃった。」

そう言った。

「あ…私も、キスしてほしかった…」

俯いて言うしか出来なかった。

「ほっぺならノーカウントかな?」

なんて笑って、

ちゅっ…

私から竜一くんの頬にキスをした。

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