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ぜんぶ二人ではじめて

第44章 告白と変化

ガタガタの砂利道が終わっても、私は竜一くんの胸に腕を回してた。

「市川、病院、着いたよ?」

竜一くんの声に驚いて、パッと腕を離す。

「あ!ほんとだ。ありがとう。」

降りる時、ちゃんと止まって、竜一くんが先に降りてから、私を降ろすため、手を差しのべてくれた。

「あっ……ありがと、竜一くん。」

竜一くんの手に触れて、また!ドキドキする!

ドキドキしないでよぉ。

「俺、このまま近くの自転車修理やってるとこにコイツ置いてくるから。そしたら帰りはバスで帰ろう?」

「うん。」

「その頃には全員揃う予定だよ。」

「分かった。」

「揃ったら、病室に顔出すよ。」

「うん。」

俯いて話す。

「……デートみたいで楽しかったよ、市川。」

「あ……」

何て答えたら良いか分からない。ただ、竜一くんを見つめた。

「すげぇ、ドキドキした。」

そう言って、頭を優しく撫でてくれた。

ひゃぁ……

思わず目を瞑る。

「顔、真っ赤だよ?」

「…」

もぉ……そーゆーこと言うからますます顔が赤くなる。

思わず自分の頬を両手で覆う。

「市川もドキドキしてたね。」

そんな言葉がますますドキドキさせる。

手を頬からどかしたら、竜一くんが私の髪を耳にかけた!

目と目が合ってしまった!

ドッキン!!!

ドキドキ……

「イジワル。」

そう言って目を反らした。

「ドキドキしてくれて、サンキュ。」

そんなこと言うから思わず視線を上げた。

そしたら頬に掌を当てられた!

バクバク言い出した心臓…

「すげえ真っ赤。…連れ去っても良い?」

なんて笑いながら言う。

「だ、だめ…」

「ゴメンゴメン。……じゃ、また迎え来るよ。」

「うん。ちゃんと、話してくるね。」

そう言うと頬から手が放れた。

あっ…

「うん!頑張れ。少し経ってから行きなね?市川。」

「…ん…」

片手を挙げて、去る後ろ姿を見送った。

あぁ…やっぱり…なんだか懐かしい。

何か…遠い昔…

ドキドキしながら私は何かを思い出しそうになってた。

浮気な私を許して…とは言えないなぁ。

ごめんね、ヤスくん。

そう懺悔しながら、トイレで鏡見て、それから病室に向かった。

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