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ぜんぶ二人ではじめて

第45章 長い夜

俯いてる七海…

「ごめん。違った?」

ハズレか?だとしたらすげぇイジワルだな。

「ダメ?」

超真っ赤な顔でそう聞いた。

「ダメじゃねーけど…」

ほんとに?

「良いの?」

「うん…」

マジ…で?

「じゃあ…寝る…か?」

「うん。」

ヤバイ…何話したら良い?

ベッドへと向かいながら、バクバク言う心臓と闘ってた。

「…入りなよ。」

そう言ってベッドの布団を剥いだ。

「…うん。」

モソモソと布団に入る、七海。

俺も七海の隣に入った。

バクバク言ってる心臓…壊れないかな?

「……」

「……」

ただ心臓の音が鳴り響く…。

二人とも天井見てただ硬直してた。

「竜くん…」

沈黙の中、七海が声を出した。

「ん?」

「私…聞きたいことが…あるんだけど…いい?」

?なんだろ?

「良いよ。」

「子どもの頃…空手、習ってた?」

あ…覚えてた?

「うん。…習ってたよ。」

「空手教室の隣って音楽教室だった?」

完璧に覚えてるな。

「そうだよ。…俺は昔、七海が音楽教室の帰りに電車に乗る時、駅で声かけたことがあるよ。…覚えてる?」

そう言ったら、七海が…布団を頭まで被った。

「…うんッ…ッ…」

「覚えてたんだ。ありがとう。」

「ううん!…ッ…忘れてたの。んっ…懐かしい夢ッ…見て…ッンッ…さっき…思い出したの。ッ…ン…」

そっか…夢見て…思い出したんだ。

百華のことも思い出したかな?七海から言うまでは黙っておこう。

夢?

「七海…思い出してくれてありがとう。」

布団の上から頭がある辺りを撫でた。

記憶の片隅に残ってた!それだけで十分だ。

なのに、七海は何をモヤモヤしてるんだ?

布団の中に入って話すってことは、まともに話せないってことだよな?

声も何となくいつもと違うし…

俺はそう考えながら、七海の頭を撫でてた。

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