テキストサイズ

ぜんぶ二人ではじめて

第45章 長い夜

side 七海

裸の竜くんが起き抜けの視界に飛び込んできた!

驚いて声を出すと、私も裸?!

見た?見たよね?とは言え、不可抗力だよね。

あぁ…恥ずかしい…

着替える間、部屋から出ててくれる。
バカな私に気を遣ってくれる。

竜くんの引き締まった筋肉質な身体が脳裏から離れない。

部屋着に着替えて…とは言え寝るだけ…ノーブラ派の私。
いつものように自然でいよう…

「竜くん…」

部屋着なのに、可愛いとか言うから、恥ずかしくなる。

竜くん…早く私を抱きたいって言ってたのに、私がのぼせたりするから、遠慮しちゃってる。

私なら大丈夫だよ。

私だって子どもじゃない。竜くんに抱かれたいと思ってるんだよ。

付き合い始めたばかりだけど…

竜くんはいつだってカッコいいし、私を護ってくれるし、優しいし…何よりいつでも私を想ってくれる。大切だよって溢れてる…。
そんな彼を大切にしたい。

くっついて抱きしめ合った、少し前の出来事…。竜くんの体温の高さがすごく心地よかった。

竜くんと一緒に寝たい。

竜くんに、一緒に寝たいって気持ちを伝えて、ベッドに入った。

竜くんの温もりが優しい。
心臓はずっと騒がしい。

夢の話を、おそらく現実にあった、昔のことを確認したかった。

ベッドで二人とも仰向けで、しばらくの間、沈黙してた。

心臓の音と時計の音しか聞こえない…

ドックンドックン…

カチッカチッ…

ドックンドックン…

その沈黙を私が破った。

空手教室に、竜くんは通ってた。

覚えておけなかった時間…

竜くんはずっと覚えていたのに、私が心の底に封印してしまった、特別な時間…

後悔しかなかった。
やるせない気持ちと悔しさと怒りと…
いろんな感情が涙になって溢れた。

本当だったら泣くだろうと予想していたから、私は布団の中に隠れた。

優しい竜くんの言葉…声…温もり…

布団の上から頭を撫でてくれる。

あの出来事は宝物だったはずなのに。

忘れない、忘れないって思ってたのに。

あれっきり会えなくなってしまったことで、私の記憶から薄らいでいってしまったの?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ