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「…泣いてるの？」

竜くんの優しい声がする。

「うんッ…ッ…」

素直に答えながら頷いた。

「どうして？」

「竜くんとの初めての出会いは…ッ…私にとって…ックッ…大切だったはずなの。…ック…それをだんだんと忘れてしまうなんて…ッ…自分が…信じられない。」

泣きながらだけど、ちゃんと言えた。

「ありがとう。七海。でも、泣かないで？俺はあの時のことを少しでも頭の片隅にあったら良いなぁ、って、それくらいしか思ってなかったんだ。こうして今、思い出してくれただけで十分だよ。だから、泣かないで？」

竜くんの優しい言葉がますます涙を誘う。

「布団剥いで良い？」

「だめぇ…」

「顔見せて？」

「（グズッ…）今、不細工だよ。」

「良いよ。どんな七海でも俺は受け入れられるよ。」

ドキンッ！

泣き顔なんて、見られたくないのに、そんなこと言われたら…

そーっと布団から顔を出した。

「不細工だな。」

優しい声のまま苦笑いしてる、竜くん。

「だから言ったのに…」

そう呟くと、掌で涙を拭った。

大きな掌…

ドキドキする！

「七海…俺は今、この状況そのものがすごく嬉しいよ。あの時のことが思い出せなかったとしても、俺は気にしない。思い出して欲しくて、七海に何かしたこともなかったろ？」

「うん。」

「あの日の出来事は、あの時のまま、封印しといて良いんだ。時は今動いてるんだから。過去に縛られる必要はないよ。」

今…か。

「うん…ありがとう。」

「俺は今も昔も…いや、今の方がもっと、七海のことが好きだ。きっとこれからもずっと、七海のことを想い続けるよ。」

竜くんの真剣で一途な想いがとても嬉しい。

「竜くん…ありがとう。嬉しい。私も、竜くんのことが…大好き！」

素直な気持ちを伝えた。

見つめ合うと、さらに緊張は高まったけど、同じタイミングで身体を密着させた。

ギュッ…

「愛してるよ…」

ドキンッ！ドキンッ！ドキンッ…

少し身体を離して、さらに見つめ合う…

「私も…愛してる。」

ドキドキうるさい鼓動がもっと加速していくのが分かる。