テキストサイズ

ぜんぶ二人ではじめて

第46章 セカンドラブ

部活が終わる。

七海に電話しながら、吹奏楽部の部室に速足で向かう。

「もしもし?終わった?」

「〝うん!〟」

「そっちの部室に向かってるよ。」

「〝分かったー!待ってるね。〟」

「うん。」

そう話してたらすぐ部室に着いた。

「竜くん!速い!」

七海に早く会いたいからね。

「帰ろ。」

「うん!」

一度七海の家に寄って、七海が着替える。

「俺も輝ん家に寄って良い?」

「うん!いいよ。」

竜くんと一緒にいられれば、良い!って気持ちが七海から伝わる。

ほんっと、可愛い。

「私服、輝ん家に置いてあるんだ。少しずつ、荷物、運べるものは運んでるから。」

照れて話ができなくなりそうで、そう続けた。

七海の私服が可愛い。

白のストライプシャツワンピ。

足元は、スニーカーだけど、少しヒールがあるようで俺との距離が少し縮む。

輝ん家に着いて、俺も釣り合いそうな私服に着替えた。

紺の半袖シャツに白シャツを羽織る。ダメージジーンズ。

「竜くん!カッコいい!!」

「七海も、めちゃくちゃ可愛いよ。」

お互い褒めあって、自然と手を繋ぐ。

バスに乗って、町に向かう。

俺たちが住む町は、地元愛が強い。

なぜなら、街並みが非常に美しいからだ。

大正、昭和の風情と異国の建物が混在している。

喫茶店やレストランももちろんお洒落。

山に囲まれてるから、孤立してるはずなんだけど、うちの学園もあるし、総合病院もあったり、わりと賑わってる。

バスに乗ってると、乗り込んでくる人たちがみんな、七海を見て、可愛いと囁く。

七海は慣れっこだから、特に何も思ってないようだ。

「帽子忘れたー。」

七海が呟いた。

「今日、暑いもんな。買うか?」

「うん。竜くんが選んでね?」

「うん。」

七海のその笑顔がそこにいる総ての人の心を癒す。

バスを降りて、手を繋ぐ。

「チャリ取りに行く前に、帽子選んでこよう?」

「良いの?」

「早い方が良いんじゃない?」

「ありがとう!」

近場のお洒落な雑貨屋に立ち寄る。

少し道を入ったところだ。

「このお店、可愛くて好き!」

七海がそう言って店に入った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ