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リモーネ

第3章 卯の花とフユベゴニア

すると先輩は不思議そうな、不満そうな顔をして

「えー!
セナちゃんは可愛くて、(良い意味で)怖くて、
ちゃん呼びが似合うからいいの!」

なんて当然のように言う。

「ワケわかんないですよ。
神崎先輩、この人をどうにかしてください。
お願いします。」

もう収集がつかないほど意味不明なかえで先輩にはお手上げだと思った俺は神崎先輩に助けを求めた。

「…えっ…あー。
まぁ、セナちゃんはいいくらいの(スモール)サイズだし、
その上(撫で回したいくらいにきれいで)サラサラな髪で、
(俺のものにしたいくらい好みな)きれいな顔だよ。キリッ」

しかし期待に反して神崎先輩までも的外れなことを言う。

「神崎先輩までそんなこと言わないでくださいよ…。
というかなんですか、その含みのあるような言い方は…。」

とぼけているのかと思った。

「まぁ、ありのままの君が一番ってことだよ。」

しかし神崎先輩は男前な顔をさらにキリッとさせて再び期待に反する。

「…神崎先輩が壊れた…?」

俺はもう言葉を失う他無い。


一方他の部員

「(セナちゃんはしらないけど…)」
「(竜胆はしらないけど…)」

「「ウチの主将、ゲイなんだよなぁー…。」」

そんなことを俺以外の部員が思っているということを、
かえで先輩がしゃんとしたような言い方をする神崎先輩に対して焦っている俺は、知るよしもない…。


「…まっ、いいじゃん。
とりあえず、校庭。行こ?」

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