リモーネ
第7章 ツツジ
「…で!…かえで!!!」
激しく揺すられて目を覚ますと目の前には大きな目に零れんばかりの涙を溜めた愛しい人がいた。
「…どうしたのセナちゃん」
俺がセナちゃんの頭を撫でながら引き寄せてその震える唇にキスをすると、真っ黒なその瞳から大粒の涙が零れ始めた。
「かえっ…かえでが…気づいたら過呼吸で、泣いてて、でも起きなくて、それで、死んじゃうから、嫌だから…」
しゃっくりをあげながら必死に話すセナちゃんの、いつも天然さを発揮しながらもしっかりと話す様子とは正反対な様子に、まるでさっきしたセックスの途中みたいだとあらぬ方向へ思考が進みそうな寝起きの頭を自分のなかで叱ってから、セナちゃんを抱き締めた。
「 大丈夫だよ。心配かけてごめんね。俺は元気だよ。」
そうするとセナちゃんは大人しく俺の腕のなかにすっぽりと収まり、潤んだ瞳で俺を見つめた。
「…ほんと?」
そういうセナちゃんのどこか怯える様子に愛しさを感じて抱き締めたまま頭を撫でる
「うん。ほんと。」
だから、もう一回寝よ?といって、セナちゃんの頭を撫でながら寝かしつけようとする