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リモーネ

第1章 オリーブ

「何言ってんの!その、その、つり目なのにくりくりで黒目がちなのがいいんじゃないか!セナちゃん!!」

その理解不能な(いや理解したくもない)発言に反応すること自体が面倒になった俺は、神崎樹(カンザキイツキ)先輩の方を向いた。

神崎先輩は、昨年の文化祭での男前ランキングで見事2連覇を果たした学校一の男前で、(因みにかえで先輩はイケメンランキング1位。解せぬ。)剣道部主将であり、かえで先輩の幼馴染みでもある。

「主将。次の指示をしてください。あとかえで先輩をどうにかしてください」

かえで先輩が、子猫みたいで可愛いじゃないか!とまだ言っているが、気にしない。

「…え。もういいじゃん…。」

神崎先輩はなぜ俺に振るのと言う顔をしながらその濃くて男前な顔を歪めた。

「…主将、今なんとおっしゃいました?」

俺は主将の突然の発言にいや、嘘だろと思い聞き直した。

「だから、今日の剣道をする時間はおしまいだよって。」
「…はい?」
「よぉぉーーし!おしまぁぁーーい!」

いつも通りのテンションの低さで、真顔で、いきなりの稽古終了宣言をする神崎先輩と状況が飲み込めない俺。そしてとりあえず喜んで叫ぶかえで先輩とそわそわし始める部員たち。

なんなんだこの自由奔放幼馴染み共は。幼馴染みとはこんなところが似るのか(違います)

「よし。はーい。今から鬼ごっこ大会を開催しまーす」

稽古終了宣言の直後に神崎先輩の元へ走っていっていたかえで先輩と神崎先輩とのこしょこしょ話が終了するとともに神崎先輩が次の指示を出した。

確かに俺は、次の指示をしてください。とはいったが、

「鬼ごっこ!?」

俺は思わず神崎先輩に向かって叫ぶ。
それは部活としてよいものなのか。遊びだろうそれは。

「そう、鬼ごっこ。校内全部を使って。あ、でも室内は無しだぞ。あと他の部活を邪魔するのも。…じゃあ、ジャージに着替えて外に集合なー。」

神崎先輩は道場内の更衣室へ向かいながら俺に有無を言わさぬ素早さで指示をし、俺以外の部員11人も返事をして更衣室へ向かう。

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