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リモーネ

第2章 一輪草

「あ、セナ…と…変な人。」

県立第二についてかえで先輩と話していたところで、早くも決勝戦が終わったのか喜一が現れた。

「おー喜一。もう決勝終ったの?」
「へ、変な人!?」

喜一の登場に手をあげて軽く挨拶をする俺と、変な人と言われて驚いたのかしどろもどろになるかえで先輩。

「うん。男子はな。女子はまだ中堅」

「え、男子はや…」

どんだけ強い所だったんだよ

「優勝したとこ、準決勝で変な人のいる高校に勝ったとこだった。」

「へー。s…」
「変な人。じゃなくて、空風かえで!だよ!」

俺が答えようとするのを遮ってかえで先輩が喜一に自己紹介をする。

「あぁ、すみません。かr…」
「おいこらメープル。」

喜一がかえで先輩をちゃんと呼ぼうとするとそれを何者かが遮った。

「あー!いっちゃんだー!どしたのー?」

いっちゃんと呼ばれた人はとても怒っている様子だった。

「メープルよ。君は選手だろう?閉会式に出ないといけないと言うことはわかっているはずダヨネ?」

「…っつあー、ソダネ。
えっと…行きましょうかねぇ…。」

かえで先輩はいっちゃんと呼ばれた人のとてつもない威圧感にも、
俺と喜一のお前、忘れてただろうと言う雰囲気にも負けず、
何事もなかったかのようにしたいのか、いっちゃんと呼ばれた人を引っ張って去ろうとする。

そして、2、3歩歩いたところでくるっと俺の方を振り返り、

「県立第二の武道館で待ってるよ。」

と笑顔で言い残して去っていった。



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