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LOSE and ABTAIN

第2章 Lost memory

そんな時。

「センセ、ちょっと、説明はこの辺で。こいつも混乱してると思うんで。」

星太は、紅葉のすこしの動きも見逃さず、紅葉の気持ちを読み取った。

「そうね、ごめんなさい。あっ、でも、最後に。紅葉ちゃんの家族の方の連絡先、分かる?なんだか病院では調べがつかなかったみたい」

エリカはメモ用紙を探しながらそういう。

『家族なんて、いない』そう心の中で言った紅葉だが、声は息となって消えた。

「俺が、家族です。こいつの家族は、俺だけだから。」

紅葉の両親は彼女が3歳の時に交通事故で他界している。

それからというもの、これまでの11年間は親同士が幼馴染だという星太の家に厄介になっている。

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