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LOSE and ABTAIN

第1章 Lost things

「紅葉、聞いて?」

その少女の病室のプレートには、『日向紅葉』と書かれている。

紅葉と呼ばれた少女は、怯えた顔を出しつつ、星太の方を向いた。

「ここは、病院。後で先生から色々と説明があるから今俺が言えることはないんだけど、紅葉に何があったとしても俺は絶対そばにいるから。大丈夫だから。」

紅葉にとっては、何が起きて自分がここにいるのかもわからなければ、なぜ周りの世界がこんなにも暗いのか、左手が動かないのか、声を出そうとしても息の音しか聞こえないのか、そのすべてがわからないから、星太が何を言っても耳を通り抜けるだけである。

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