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神様の願い事

第1章 不思議な噂

《sideS》



翔「…どしたのそれ。なんか引っ掻かれた?」


相葉くんの頬に傷がある。
その隣の松潤も手の甲に傷があった。


雅「あ、いやちょっとね…って、え、松潤それ」

潤「ふふ、メッチャ可愛いね」


なんの話だ。
てか松潤なんて引っ掻かれた手の甲をすりすりしながらも顔はニヤけてる。


智「どしたの?」

翔「や、アレ…」


傷をすりすりしながらニコニコと楽しそうに話す二人を指差した。


智「ああ…」

翔「え、なに。何か知ってるの?」

智「ん? いや何も」

翔「ふうん…?」


頭をポリポリかきながら智くんは背を向ける。
そのままソファーに座るとぼーっとし出した。
まあ、いつもの事だ。


智「翔くん」


あれ、ぼーっとしてたんじゃないのか。


智「ここ、座る?」


いつもなら隣にニノが座るから自然と場所を開けていた。
だから俺はソファーじゃなくて椅子なんだ。


智「たまには座れば? 柔らかくて気持ちいいよ」

翔「え、でも」

智「大丈夫だよ」


智くんがチラッと目配せをする。
その方に目をやると、松本相葉の元に二宮も混ざって楽しそうに談笑してた。


智「ね?」

翔「うん」


という訳で俺は大人しくソファーに座るんだ。
それも智くんの隣に。

目の前のソファーが空いているというのに、智くんの隣なんだ。


智「ラテ飲む?」


飲みたいタイミング。
智くんも分かるのか。


翔「うん」

智「ふふ、ちょっと待ってね」


ポットに手を伸ばす智くんの横顔を見てた。
この人の横顔はとても綺麗な形をしてる。
鼻がツンとしてて、顎が小さくて。
その横顔のフォルムもまるで猫みたいに可愛いんだ。

てかおい。
可愛いってどういう事だ。


智「はい」

翔「あ、ありがと」


今日は智くんが淹れてくれた。
自分で淹れたのを寂しく啜るんじゃないんだ。

智くんが淹れてくれたのを笑顔で啜るんだ。


翔「ん、ウマイ」


隣の智くんは近くて。

だから顔は見てないんだけど分かる。

俺が美味しそうに飲むのを嬉しそうに見てる筈だ。


ニコニコと笑って、嬉しそうに見てる筈なんだ。







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