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神様の願い事

第1章 不思議な噂



と思ったのに。

智くんはぼーっとしてた。
持ったラテも全く減っていない。

俺一人でドキドキして辛抱堪らん事になってチラ見したのに、なのにこれだ。


翔「智くん?」

智「んぁ?」

翔「どうしたの?」

智「寝てた」


うそだろ。


翔「目 開いてたけど…」

智「え、マジで?」


どんだけボケてたんだ。
目開けたまま寝るとか信じられないんだけど。


智「ふふっ、ボケてたみたい」

翔「だろうね(笑)」


智くんはすぐぼーっとする。
放っておくといつもそうだ。

だけどそのぼーっとした顔からハッとした顔になり、ふにゃっと笑う。
俺はこの一連の表情が好きだ。


智「ちょっと前ごめんね」

翔「うん」


おもむろに席を立つと3人の方へと向かう。
楽しく笑い合ってる輪にスッと入ると、松潤の手を取ったんだ。


智「結構深いね。痛いでしょ?」


智くんはぼーっとしてた。
だけど、目線は松潤に向かってたんだ。


潤「まあ痛いっちゃ痛いけど」


手の甲を擦る智くんを見ながら松潤は話す。


潤「全然大丈夫だよ。だって嬉しかったから」

智「そう? ならいいんだけど」


ふふっと松潤を見て笑うんだ。

さっき俺にくれた笑み。

それを松潤にもする。


潤「よく分かったね」

智「そりゃ分かるよ。ずっとスリスリしてたじゃん」


二人でニコニコと笑い合ってる。

俺は出来なかったのに。

折角隣に座ったのに。


只の仲間なのに、どうしてモヤモヤするんだろう。


雅「立ち話もなんだし座ろっか」

和「なんだしってなんなのよ(笑)」


4人の笑顔が近付いてくる。

だから俺も笑顔になる。

このモヤモヤを出したらきっとおかしな顔になるから。


だから俺も笑うんだ。






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