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神様の願い事

第3章 変化

《sideN》



翔さんの邪魔しちゃったかな。
すんごい聞き耳立ててたから打ち合わせどころじゃ無かったかもしれない。


潤「で、冗談は置いといて」

和「うん」


潤くんがコーヒーを買ってくれた。
それを自販機横のベンチに座って受け取ると、潤くんもピッタリと俺に寄り添って座ってきた。


潤「そろそろ本気で、考えなきゃな」

和「そうだね」


やっぱ考えてる事は同じだったみたいだ。


和「あの人は十分だって言うけど、それ以上となるとやっぱ、アッチしか無いと思うんだよね」

潤「だよなぁ…」

和「アッチて別に、変な意味じゃないよ?」

潤「わかってるよ(笑) 私生活面って事でしょ?」

和「うん」


趣味も多いし、釣り雑誌だっていつも見てるんだ。
“釣り行きてえなぁ”なんて呟く様子を見てる限りでは、特に不幸せという感じは無い。

只、休みが少なくて不自由を感じてはいるかもしれないけど。

だけどそれでも、あの人は “幸せだよ” って言うし。


潤「プライベートもそれなりに充実して過ごしてるとは思うけど」

和「うん」

潤「でも、そう言われてみれば聞いた事無いよね」

和「ん」

潤「リーダーの、恋バナって」


そうなんだ。
釣りだの絵だのって話は聞くけど、恋の話なんて聞いた事無い。
浮いた話も無ければ、そんな雰囲気さえ醸し出さない。


和「あるとしたら、もうそれしか残ってないよね」

潤「だな」


今でも十分だって大野さんは言うけど。
それ以上となるとやはりプライベートは絡んできて。

だけどそんなプライベートなんて知らないし。


潤「好きな人、いるのかな」

和「どうなんだろうね…」


どうして俺達がこんな廊下の端に設置された自販機横で小さくなってるかと言うと。


潤「...この間のニノみたいな笑顔、リーダーにもさせたいな」

和「え?(笑)」


猫化をなんとかしてやりたいって気持ちは確かに同じだけど。


潤「なんかニノ、すっごい幸せそうだったし」

和「嘘でしょ(笑)」


もっと幸せになれるって言うなら、その言葉通りもっと幸せになって欲しいんだ。


最年長を心配する末っ子2人なんて、健気だろ?



俺達のこんな気持ち知ったら、またあの人は “幸せだよ” とか言って泣くんだろうけどな。






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