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神様の願い事

第4章 誤解




翔「アイツら何をコソコソと...」


ったく何だって俺がこんな事を。

“お願い、あの2人がどこに行くのか様子を見てきて欲しいんだ”
あんな悲壮な顔で言われちゃ断れる訳も無いし。


翔「メシにでも行くのかな」


2人を乗せた車の後を追っていた。


翔「あっすいません、ここで」


2人を乗せたタクシーが止まると、俺もタクシーを止めさせそこで降りる。
降りた俺は勿論2人には見つからないようにコソコソと動いた。


翔「ん...?」


あの2人も何故だかコソコソとしている。
その動きを不審に感じた俺は、2人の視線の先に何があるのかと目を凝らす。


翔「あれは...」


智くんじゃねえか。
“行くところがある”と真っ先に出て行った智くんの後を、2人はつけていたという事か。


翔「後をつけるなんて、どうして」


まるでスパイにでもなったかのような2人の振る舞いに、ほんの少し不安を覚えた。

ピッタリとくっついて移動する様はとても親密そうに見える。
“ニノとキスをした”と言う相葉くんが見たら、確かに不安になるだろう。

だけど俺は、それとは違う不安を感じたんだ。


翔「あ?」


不安は的中だ。
キョロキョロとする智くんの元へ、お洒落メガネのおっさんが近付いた。


翔「なんで編集長と」


俺と同様、あの2人も怪訝そうな顔をしている。


翔「やべ」


智くんはニコニコと笑いながら編集長と店に入って行ったし、あの2人も少し間を置いて店へと吸い込まれて行った。


翔「どうしよう。1人で個室とかオカシイよな」


俺は相葉くんから受けた任務を果たさなきゃいけないと言うのに。

というか、編集長に肩を抱かれた智くんが心配で堪らないと言うのに。


翔「う~...、い、行くかっ」


え、おひとりですか? なんて店員はキョトンとするだろうけど。

大野さんとご一緒じゃないんですか? なんなら松本さんと二宮さんも見えてますけど。え、おひとりの部屋がいいんですか? なんて怪訝そうな顔をされるだろうけど。



それでも俺は、ひとりでこの店に乗り込んでやろうじゃないか。






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