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神様の願い事

第4章 誤解

《sideM》



翔さんは気配を消すのが下手だ。


和「何してるんですか?」

翔「えっ」


後から声を掛けるとマンガのように飛び上がった。


和「1人でメシ?」

翔「...っや、ま、まぁ」


目を丸くして、挙動不審とはまさにこの事。


潤「あ、一緒の部屋で」

「はい、ご案内させていただきます」


俺らの後ろでコソコソしている事は知っていた。
だって物凄い眼力でコッチを見てたから、あれで気が付かない方がおかしいってもんだろう。


潤「...ソッチの部屋、空いてます?」

「空いてますがお隣に先客がいらっしゃいますので、声漏れが気になるようでしたら...」

潤「それは大丈夫です。俺ら大きい声出さないから、ね?」

和「うん。大人しくしてるよ」

「そうですか? ではそちらのお部屋で(笑)」


リーダーが入って行った部屋はこっそり見ていた。
前と同じ店だからなんとなく検討はついていたけど、やはり前と同じ部屋だった。

その部屋を確認していたら俺らより後に入ってきた筈の翔さんと出会して、知らんぷりするのもアレだし声を掛けたと、そういう訳だった。


和「で? 翔さんはなんでこんなところに?」

翔「えっ」

和「だってこんな店、ひとりじゃ来ないでしょ」

翔「そっ、そう? 俺は結構来るけど」

潤「へえ?」


どうせ相葉さんの差し金だろう。
相葉さんは終始不安そうな視線を俺達に浴びせていたし、少し可哀想かなと思っていた。
だけどニノは“面倒くさい”の一言で片付けて。

まあニノの事だからちゃんとフォローはするんだろうと放っておいたけど、まさかの翔さんが送り込まれてくるとは。


和「あ、声」

潤「聞こえる?」

和「うん」


コップ片手に壁に張り付くニノを翔さんは不思議そうに見る。
その翔さんを放置して俺もニノの隣に並んだ。


潤「あ、これ凄いね」

和「でしょ?」


ポツンと座る翔さんに見られながら、俺達は壁際にピッタリと張り付いて。


翔「...なにやってんの?」


相葉さんの頼みとか、今となっては只の口実だろう。


きっともうすぐ、翔さんも壁に張り付く事はわかってるんだから。






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