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神様の願い事

第4章 誤解

《sideO》



智「だからあれは、誤解なんですよ」

「誤解?」


間違いを正さなければと思った。


「でも、凄い濃厚なキスを」

智「や、だからぁ~...」


なんだか後ろめたかった。
翔くんの恋が上手くいってないのも、寂しそうなのも、俺のせいなんじゃないかと思えて。


智「フリですよ、フリ」

「フリぃ? でも確実に...」

智「その眼鏡、度数合ってないでしょ(笑)?」


これが原因じゃないにしても、ひょっとしたら彼女の耳に入るかもしれないし。
そうなれば、翔くんが愛想をつかされるのは確実だろうし。


「本当に違うの?」

智「はい」

「いいんだよ? 漏らさないから」

智「や、でも本当に違うんで。翔くんにも申し訳ないしちゃんと誤解を解かなきゃと」


こんなに言ってるのに、編集長はまだ疑いの目を俺に向ける。


「...でも、素質はあるでしょ」

智「はい?」


俺に一体なんの素質があると。


「キライじゃないだろ?」

智「なにが...」

「オトコ」

智「は...?」


そんなの初めて言われたぞ。
いや、今までだってオトコには好かれてきた方だと思うけど。
しかしそんなダイレクトに聞かれた事なんて無かった。


智「嫌いもなにも...、そんな風に見た事無いですし」


どうしてそんな風に思ったんだ。


智「もちろん女は好きですけど」


俺ってそんなにオネエっぽいか?


「ふ~ん...?」

智「いや、 当たり前でしょ(笑)」


失笑する俺の前で編集長は舐めるように俺を見た。

まるで“そんな嘘バレてるよ”とでも言いたげだ。


智「疑い深いな...(笑)」


だけど俺は嘘なんてついてないし。


そんな目で見られる筋合いも更々無いんだ。







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