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神様の願い事

第1章 不思議な噂

《sideS》



やっぱ俺おかしいのかな。
だってさっきから智くんの顔ばかり頭に浮かぶ。


雅「どしたの翔ちゃん。やっぱ少しおかしいよ?」

潤「体調悪いの?」


やっぱりおかしいのか。
幻覚ってなに。何科で受診すればいいんだ。


雅「ほら、次交代だから楽屋で休も?」

翔「うん…」


足並みを揃えた二人の前を歩く。
なんかぼーっとしていたら早足になってたみたいで、俺だけ先に楽屋に着いてしまった。

ドアを開けようと思ったその時、中から話し声が聞こえたんだ。

智くんとニノの。


和「ちょ… 痛いのヤだからね?」

智「分かってるよ」

和「ん…、痛ッ」

智「ほら、怖がんないで。力抜いて」


…な、何やってんだ!?
痛いって、力抜いてって、なに。


和「もぉ… ヘタクソなんだから優しくしてよね」


優しくって、ど、ど、どういう。


智「じゃあ大人しくしてろよ…」


その声にゾクッとした。
あんな低い声出せるんだ。

その大人な智くんの声に驚いて固まってると、後ろから肩を叩かれた。


雅「も~ 翔ちゃん速いよ」

翔「ちょ、…しっ」

潤「し?」


唇の前に人差し指を立てた俺を見て、二人は頭を傾げる。
だけどあんな会話聞かせる訳にもいかないし、なんなら楽屋にだって入れる筈が無い。


ガチャッ


え。


雅「おまたせ~ 次二人の番だよっ」


おい!
何故お前はそうなんだ相葉!


智「え? もうそんな時間?」

和「ほらぁ、おーのさんがモタモタしてるから~」

智「優しくしろってお前が言ったんじゃんか(笑)」


あ、あれ?


潤「優しく?」

和「目にゴミが入っちゃったんだよ。だけどこの人ヘッタクソでさあ。痛いのなんのって」


え、ごみ? ああ、ごみか。
なんだ、ゴミなのか。


雅「取れたの?」

和「だめ。相葉さん取って」

雅「ん、こっちおいで」


驚かすんじゃねえよ全く。
心臓が止まるかと思った。


智「ん? 翔くんどしたの?」


きょとんとしながら小首を傾げて俺を見てくるんだ。
さっきの声とは違う、いつものとぼけた声で。


雅「よし取れた…って、あれ? なにコレ。猫の毛?」

潤「猫?」


だけど俺は、何故かあの声を聞きたいと思ってしまった。


いつもと違う、智くんの低くてアダルトな声を。






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