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《sideO》


ああ驚いた。

まさか腰を抜かすなんて。


翔「...てことは、智くんが編集長を呼び出したの？」

智「うん」


少し様子のおかしくなった翔くんも、俺が腰を抜かした事でいつもの翔くんに戻ったようだし。
それ程に心配をさせてしまったんだと分かったから、俺は説明を始めていた。


翔「んで、恋人じゃないって言ったからまた迫られたんだ」

智「や、それは違う」


怒るかな。怒るよな。


翔「え...、智くんが言ったの？ 触れてって？」

智「ん」

翔「はぁ？ なんでそんな事...、もう、バカじゃないの？ だったらどうなるか予想くらい出来たでしょう？」

智「う、うん」


ああ、呆れたのか。溜息を吐かれてしまった。


翔「どうしてそんな事言ったの？」

智「う～ん...、確かめようと、思ったんだよね…」

翔「なにを」

智「や、相手が男でも気持ちいいのかなって」


あ、言葉を間違えた。


翔「は...？」


説明って難しいな。


翔「え、編集長の事好きなの...？」

智「や、そうじゃない」

翔「じゃあどうして編集長にそんな」


ふと疑問に思ったからだ。
どうしても、確認したくなった。


智「男...、に」


言うべきだろうか。


翔「うん...？」


おかしなヤツだと思われるだろうか。


智「俺は、男とでも...」


気持ち悪いって、思われるかな。


智「恋愛感情を持てるのかなって」


ああ、言ってしまった。


智「ふと、思ったんだよね...」

翔「え...」


引いたか。
そりゃあな。引くわな。


翔「それで、確かめようとしたの？ 編集長を相手に...？」

智「うん...」


なんのカミングアウトだよこれ。
こんな話、思いっきりゲイだと思われちゃうじゃねえか。


翔「で、どうだったの...？」


ほらな。すっかり俺と目を合わせられなくなってる。


翔「気持ち良かった…？」


かと思えば途端に凝視して。

かなりの目力を出して俺を見てくるんだ。


俺の事が気持ち悪くてそんな顔をしているのか、それとも只単に興味本位なのか。


取り敢えず翔くんは、俺から目を逸らさなかったんだ。