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神様の願い事

第4章 誤解



智「いや...」

翔「あ、ああ、そう」


気持ちいいどころか気持ち悪かった。
何が違うんだろう。
翔くんとのキスなんて、腰が抜ける程にふわふわしたっていうのに。


智「やっぱ違うなって、思った」

翔「そ、...っか」


え。
そこはホッとする所じゃないの?
なんでガッカリしたんだ。


翔「つかそもそも、どうしてそんな事思ったの?その、男が好きかもしれないって…」

智「それは」


どうしよう。


智「え...っと」


言ったらさすがにヤバいよな。


翔「うん?」


“翔くんのせいだよ”なんて言ったら、これからどうやって付き合っていけばいいんだ。


翔「なに?」


絶対気持ち悪がられる。
言える訳無い。


智「な、なんとなく」

翔「え」


明らかにキョトンとした。
そんな翔くんは、目を丸くしたと思ったら今度は眉を潜める。


翔「なんとなく...?」

智「う、うん」


もの凄く眉を潜めて見てくるんだ。
俺はそんなにおかしな事を言っただろうか。


翔「その、キッカケは? なんとなく思い付いた、キッカケ...」

智「キッカケ...」


だから翔くんのせいだって言ってるだろう。
いや、言っては無いけど。


翔「だって普通なら、そんな事思いもしないんじゃない?」

智「あ、まぁ、そうか…な...」


どんどんシドロモドロになって行く。
俺の乏しいボキャブラリーが恨めしい。


翔「何か、そう思わせるような出来事があったとか...」


だからあったって言ってんじゃん。
言ってないけど。


翔「まさか」


え、気付かれたか。


翔「貴方、男に結構モテるから」


なんだ、何を言うつもりだ。


翔「まさか他の男に何かされたんじゃ...」

智「や、違」


なんだよ、焦って損した。


翔「違うの?」

智「うん」


すっとんきょうな質問にほっとしたら、何故か翔くんも胸を撫で下ろしてて。
なんでお前がほっとしてるんだ、言ったのはソッチだろうと思ってたらうっかり口が滑った。


智「言われたんだよ」

翔「何を?」

智「キライじゃないでしょ的な」

翔「は...?」


だから翔くんは更に眉を潜めて俺を覗き込むんだ。


それは、まるで取り調べを受けているのかと錯覚する程に鋭い眼力で。







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