テキストサイズ

神様の願い事

第5章 混乱

《sideA》



雅「翔ちゃん」

翔「あれ、どこ行ってたの?」


翔ちゃんはきょとんとして楽屋に戻った俺を見たけど、“どこ行ってたの”とかじゃなくて。


雅「それよりアレ、どうだった?」

翔「アレ?」

雅「もぉ~、だから尾行」


まぁ気になって気になって。


翔「あ」

雅「あ?」

翔「や、ああ、アレね...。え~と…」


何その感じ。まさかとは思うけど。


雅「え、尾行出来なかったとか...?」

翔「いや!それは無い!後はちゃんとつけてたよ!」

雅「ちょっ、声が大きいっ」


遠くから“ん?”なんてニノがこっちを見た。
翔ちゃんに尾行させてたなんて知られた日には白い目で見られるに決まってる。


翔「あ、ああ、ごめん」

雅「で?」

翔「え」

雅「どうだったの? あの二人、何してた?」


なんで翔ちゃんはこんなにキョトンとしてるのか。
まさか俺の切迫感に気付いていないのか。


翔「えっとだから...、メシを、食ってたよ」

雅「二人だけで? ご飯行ったの?」

翔「う、うん」

雅「中の様子は?」

翔「えっと、は、張り付いてた」

雅「ええっ? くっついてたって事っ?」

翔「くっつくって言うか、張り付いて」


まさかそんなに親密だったなんて。


雅「...その後は?」

翔「後?」

雅「うん。ちゃんと二人別れて帰った?」

翔「あ~...、や、そこまでは」

雅「えっ、見てないのっ?」

翔「や、見てないと言うかその」


なんてこった。翔ちゃんなら大丈夫だろうと任せたものを。


雅「そこが大事でしょっ」

翔「う、うん」

雅「どうして見てないんだよ~」

翔「ご、ごめん」

雅「ちなみにそれ、どこのメシ屋?」

翔「えっと」


いや待てよ? 翔ちゃんがそんな中途半端な仕事をする筈も無いし。
いやらしいくっつき方では無くて、パリピポ的な?只のハグかもしれない。

だから安心してそこで帰ったのかも。


雅「え、そこ」

翔「うん?」

雅「あんな店、普通男二人で行く...?」


翔ちゃんが言う店は知ってる。
この間リーダーを助けに行った店だ。

確かに口も固くて信用も高い。
だから芸能人御用達なんて言われたりもするけど。

だからこそ逆に、“おとす時はココを使え”と言われている店でもあるんだ。






ストーリーメニュー

TOPTOPへ