
神様の願い事
第5章 混乱
《sideO》
智「スキンシップ、か...」
自宅のベッドに転がりながらうっかりと独り言を呟いていた。
「なんじゃ溜息なんぞしおって。シアワセが逃げるぞ?」
智「じいちゃんさぁ...」
独り言にはならなかった。
何故ならどこからともなくじいちゃんの声が聞こえるから。
智「なんなの今日の」
「何とは?」
智「別に翔くんが神様を呼んだ訳でも無いし、そもそも猫でも無かったじゃん」
また呼んだのかと思ったけど、行ってみたら翔くんは機嫌が良かったし。
智「バレたらどうすんだよ」
「ん~ でも、仕方無いじゃろう?」
智「なにが」
「行ってしまうという事は、少なからずアッチがお主を呼んだ筈じゃ」
智「そうは見えなかったけど?」
「もしくは、お主がそう思っていたか」
俺が? 翔くんに会いたいと?
智「なんでそんなん思うんだよ(笑) さっきまで一緒に仕事してたんだよ?」
「だからそれは、自分でも気付かないような心の深~いところに」
智「ないよ(笑)」
いつもそうだけど、やっぱりじいちゃんはおかしな事を言う。
「ワシも、無いんじゃ」
でも急に声のトーンが変わって。
智「何が?」
「時間」
智「時間...?」
さっきまでのふざけた声とは違う。
落ち着いた声を、俺にしっかりと聞かせてくる。
智「なに、成仏する気になったの?」
「いやそんなもの、いつだって出来るんじゃがの...」
この世に未練があって成仏をしたくないオバケとは違うようだった。
「そろそろアイツを迎えに行ってやらないと…」
智「迎え?」
「...約束したからの。ワシが、迎えに行ってやると」
そうだ、じいちゃんは時空を超えたオバケなんだ。
じいちゃんの元居た時空で、じいちゃんの迎えを待っている人が居るんだ。
智「それって前言ってた、じいちゃんの大事な人...?」
「ふふ、そうじゃよ?」
顔は見えないけどわかる。
じいちゃんは今、凄く優しい顔をしてる。
「きっとアイツも、待っててくれてるだろうから...」
じいちゃんが言う“本当のシアワセ”。
その意味がよくわからなかったけど、今はなんとなくわかる気がする。
それを手に入れたら、きっと俺もじいちゃんみたいな柔らかい声を出せるのかもしれない。
智「スキンシップ、か...」
自宅のベッドに転がりながらうっかりと独り言を呟いていた。
「なんじゃ溜息なんぞしおって。シアワセが逃げるぞ?」
智「じいちゃんさぁ...」
独り言にはならなかった。
何故ならどこからともなくじいちゃんの声が聞こえるから。
智「なんなの今日の」
「何とは?」
智「別に翔くんが神様を呼んだ訳でも無いし、そもそも猫でも無かったじゃん」
また呼んだのかと思ったけど、行ってみたら翔くんは機嫌が良かったし。
智「バレたらどうすんだよ」
「ん~ でも、仕方無いじゃろう?」
智「なにが」
「行ってしまうという事は、少なからずアッチがお主を呼んだ筈じゃ」
智「そうは見えなかったけど?」
「もしくは、お主がそう思っていたか」
俺が? 翔くんに会いたいと?
智「なんでそんなん思うんだよ(笑) さっきまで一緒に仕事してたんだよ?」
「だからそれは、自分でも気付かないような心の深~いところに」
智「ないよ(笑)」
いつもそうだけど、やっぱりじいちゃんはおかしな事を言う。
「ワシも、無いんじゃ」
でも急に声のトーンが変わって。
智「何が?」
「時間」
智「時間...?」
さっきまでのふざけた声とは違う。
落ち着いた声を、俺にしっかりと聞かせてくる。
智「なに、成仏する気になったの?」
「いやそんなもの、いつだって出来るんじゃがの...」
この世に未練があって成仏をしたくないオバケとは違うようだった。
「そろそろアイツを迎えに行ってやらないと…」
智「迎え?」
「...約束したからの。ワシが、迎えに行ってやると」
そうだ、じいちゃんは時空を超えたオバケなんだ。
じいちゃんの元居た時空で、じいちゃんの迎えを待っている人が居るんだ。
智「それって前言ってた、じいちゃんの大事な人...?」
「ふふ、そうじゃよ?」
顔は見えないけどわかる。
じいちゃんは今、凄く優しい顔をしてる。
「きっとアイツも、待っててくれてるだろうから...」
じいちゃんが言う“本当のシアワセ”。
その意味がよくわからなかったけど、今はなんとなくわかる気がする。
それを手に入れたら、きっと俺もじいちゃんみたいな柔らかい声を出せるのかもしれない。
