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神様の願い事

第5章 混乱

《sideM》



和「ここら辺だよね?」

潤「たぶん」


何をやってんだあの年長組はと呆れていたら、ニノも呆れてた。


和「お~い神様ぁ。出ておいで~」


どうやら考える事は同じようで。


潤「アッチの角曲がった辺りじゃない?」

和「あ~、そうかも」


廃れた商店街を二人でウロついてるんだ。


「呼んだかの?」

和「へ?」


すると、誰もいなかった筈の背後から声が聞こえた。


「おお君達は... ははっ、まだまだ若いのぅ」


どこか懐かしむような顔を見せ、ニコニコと笑うお爺さんが居た。


和「誰? 知ってる人?」

潤「いや...」


知らないけど、なんだか見た事のあるような。


「で、用はなんじゃ?」

潤「え?」

「用があったのじゃろう? だからこんな夜中にこんな所まで来たんじゃろう?」

和「いや、用はあったけど」


お爺さんにじゃなくて。


潤「僕達、猫を探してるんです」

和「おじいちゃん見なかった? 黒くてちっこいの」


願い事があったんだ。
それも次こそは絶対に断れないであろう、loveの。


「ああ、願いがあるのか」

和「え、なんでわかるの」

「だって神様を探しに来たんじゃろう?」

潤「えっ、お爺さんも神様を知ってるんですか?」

「けどアイツは今日は来ないぞ? たまにはゆっくり休ませてやらないとな。寝不足気味で頭が冴えとらん」


きょとんとしたニノは、怪訝そうな顔をして俺を見上げた。
その目は、“このジジイ一体なんなんだ”と言っている。


潤「お爺さん、神様の知り合いなんですか?」

「まあ、な」

和「今日は来ないって、だったら次はいつ来るの?」

「そんなに急ぎの用なら、ワシが聞いてやろう」

和「へ?」


ニノは更に怪訝そうな顔をして見せた。
だから俺もつられて怪訝そうな顔をしてしまった。


「だけどなんでその二人なんじゃ? 一体なんの願いがあると」


すると何故かお爺さんも俺達を見て怪訝そうな顔をしていて。


「おかしいな… ワシの世界じゃ二人は何も無かった筈じゃが...」


初めて会った筈のお爺さんは、何故だか俺達の事を知っているような感じがした。


それにお爺さんが醸し出すその雰囲気は、どこか身に覚えがある。



そんな気がした。







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