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神様の願い事

第5章 混乱

《sideS》



翔「これのせいか...?」


今日も持って来ちゃったけど。

買った覚えも無いのにウチにあったあの肌守り、実はもの凄いんじゃないかと思える。


翔「だから智くんが...」


俺に鏡をくれたあのお爺さんが夢に出たんだ。

“いいものをやろう。これを肌身離さず持っていればいい事があるぞよ?”とふざけた笑顔で言ってのけた。

んで、朝起きたら枕元にあったんだ。


翔「いや、まさかな」


でも、カバンにしまった途端に智くんはカバンに張り付いてたし。
とすると、この肌守りはなんなんだ。


雅「おはよ~」

翔「あ、おはよう」

雅「あれ? まだ翔ちゃんだけ?」


もう一度確かめようと早めに来たけど、早く来すぎた。
智くんはまだ来てなかったし、今入ってきたのは相葉くんだ。


雅「ねえ、やっぱあの時キスしようとしてたよね?」

翔「ぶほっ」


朝っぱらから何をいきなり。


雅「でもなんかいい雰囲気だったし、本当に片想いなの?」

翔「か、片想いって」

雅「え、じゃあ両想い?」

翔「いや、違」


片想いだの両想いだの、俺はまだそんな域には達していない。
だって智くんが恋愛対象として見てくれるかどうかもわからないってのに。


雅「はぁ、キスか...」

翔「あ」


そう言えば、前にチラッと言ってたな。


翔「なんで片想いなんだよ。キスしたって言ってなかったか?」

雅「ああ、アレね」

翔「したんだろ?」

雅「...したけど、俺の勘違いだったのかも」

翔「勘違い?」

雅「最初は戸惑ってたけど、でも、俺のキスを受け入れてくれたんだ。だから、アイツも俺の事好きなんだって思って」

翔「うん」

雅「けど、違ったのかなって...」

翔「どうして...?」

雅「断れなかっただけなのかも...。ほら、気まずくなるの嫌じゃん?」


智くんもそうなんだろうか。
気まずくなるのが嫌で、いつもと変わらぬ態度で何事も無かったかのように接してくれるのだろうか。


雅「それに、松潤の事が好きなのかもしれないし...」


智くんは?

あの人は、誰か好きな人がいるのかな。

前に勘違いした事はあったけど、それ以来そんな素振りは見せないし。


だけどもう立派な大人だ。


あの人にそんな人がいたって、おかしくもなんとも無いんだ。





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