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神様の願い事

第6章 名探偵

《sideS》



翔「えっマジでっ」

雅「ふふ、うん♪」


朝っぱらから締りの無い顔で相葉くんは喋る。


翔「素直になったんだ...」

雅「そう。かなり勇気がいるけどね」


そろそろ智くんが来るかなと思っていたらドタバタと廊下が騒がしくなって、スキップをしながら飛び込んで来るように相葉くんが楽屋に入ってきた。


翔「で、そのキスは濃厚な...?」

雅「もぅすっごいディープな」

翔「マジかぁ~...」


幸せそうな顔しやがって。
そっちから“俺ら片想いだね”なんて絡んできたと言うのに、とっとと相葉くんは卒業してしまった。


翔「やっぱニノも好きだったんだ」

雅「みたい」


まぁ自信満々に答えやがる。


翔「じゃないとそんな濃厚なキス出来ねえよな」

雅「だよねえ」


くっそ、鼻の下伸びまくってんじゃねえか。


雅「だけどさぁ、そういう事で言ったらやっぱ」

翔「ん?」

雅「リーダーも翔ちゃんの事が好きなんじゃないの?」


はぁ?んな訳無いだろ。
自分が幸せだからって、なんでもバラ色に見ようとするんじゃないよ。


翔「いやいや、それは無いよ。あれは本当に只の芝居だったし」

雅「でも、芝居だからって仲間とそんなの出来るかなぁ」

翔「仲間だからじゃね? 知ってるヤツだから、出来たんだよきっと」

雅「そうかなぁ…?」


そうなんだよ。それ以外に何も無いんだって。


雅「じゃあ、俺とも出来る?」

翔「へ?」

雅「キス。翔ちゃんは、俺とでもそんなキス出来るの?」


急に何を。


翔「ちょ、相葉」

雅「只の仲間じゃん。出来るんでしょ...?」


誰も居ない楽屋の隅に陣取り、二人で顔を見合わせて話していた。
その距離を、相葉くんは更に詰めてくる。


翔「じょ、冗談はよせって…」


相葉くんの息が顔にかかる。
鼻先だって、もう触れてしまいそうだ。


ガチャ


智「おは」


詰め寄る相葉くんの肩に手を置いた時、あの人の声が聞こえた。


雅「あ」

智「...っと、飲み物、買ってくる」


相葉くんの頭の陰からあの人の後ろ姿が見えた。
その姿は、パタンと閉まるドアと共に消えてしまった。


翔「おい相葉」

雅「あ、...てへ」

翔「てへ♪ じゃねえわっ」



完全なる誤解を産んでしまったようだ。





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