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神様の願い事

第6章 名探偵

《sideA》


やべ。絶対怒ってる。


雅「ごめんて、翔ちゃ~ん」

翔「ったく...」


だって絶対出来ないのに、“仲間だから出来るんだ”って言うから。


翔「そもそもお前があんな事しなけりゃ」

雅「でっ、でも、これで分かったでしょっ?」

翔「なにが」

雅「出来なかったでしょ? 俺と、キス」


目を見開いた翔ちゃんが、“周りにスタッフがいるんだぞ”と俺の口を抑えてきた。


雅「もごっ、も、翔ちゃんっ」

翔「も~、なんだよ」


隅っこに連れて行かれ、そこでまたコソコソと話すんだ。


雅「仲間だからそこ、出来ないんじゃん?」

翔「え?」

雅「“おいおい何すんだよ”って、ならなかった?」

翔「ああ...」


コンサートとかでやる軽いキスは、ファンサービスだったり、テンションあがっちゃってスキンシップが増しただけのようなモンだし。
それとはまた違うんだ。


雅「だからさ、リーダーも只の仲間だと思ってたらやんないと思うんだよね」

翔「...」


腕を組んで難しい顔をし始めた。


翔「や、でも。あの人はちょっとわかんないよ?」

雅「そう?」

翔「うん。だって皆の事、好き過ぎるでしょ」

雅「まあ」

翔「...俺は出来なかったけど、あの人は出来るのかも知れないじゃん」


なるほど。勇気だ。

悪い方に悪い方にと考えるのは、勇気を出せないからだ。


雅「...怖いの?」

翔「え?」

雅「勇気、出せないだけでしょ?」

翔「...っ」


まずい事しちゃったなって、どうしようかと思ってるんだ。


翔「おっ、お前終わったんだから、早く次のヤツ呼んで来いよっ」


図星か。
急に声を荒らげて俺を追い出そうとするんだ。


雅「神様も言ってたじゃん。翔ちゃんも、素直になった方がいいよ?」


素直になれば、状況も変わってくると思うんだ。
ウジウジ悩んで何も進まないなんて、翔ちゃんらしくない。


雅「次、リーダーだからね? ...ガンバ♪」

翔「ガンバって、おま、誰のせいだと」



俺だって幸せになれたんだ。



翔ちゃんだって、きっと幸せになれる。






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