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神様の願い事

第6章 名探偵

《sideS》



智「この間、さ」

翔「うん?」


なんとか合意し、智くんを家に連れて来た。
ソファーを背もたれにして酒を呑んでいたら、智くんがボソッと口を開いた。


智「ごめんね? 変な事して...」


この間の“変な事”と言うのは、きっとあのキスの事だろう。


翔「いやあれは」

智「気まずいよね? 早く言えば良かったんだけど、なかなかタイミングが無くて」


やっぱりそれが原因か。
最近目も合わせてくれないし、今日だって飯に誘ってもなかなか“うん”と言わなかった。


翔「...こっちこそだよ。よく分からないけど、あの肌守りのせいなんだよね?」

智「かな(笑)」

翔「そんな事になるなんて知らなくてさ。俺こそ、ごめん...」


今も捨てずに取ってはあるけど。
結局なんだったんだ、あの肌守り。


智「え...、知らないで持ってたの?」

翔「うん」

智「だったらなんであんなの持ってるの?」

翔「あ~...」


こんな話、信じてくれるだろうか。


智「え? お爺さん?」

翔「うん。貰ったって言うか、朝起きたらあったから...。不思議だなぁとは思ったんだけどね」

智「はぁ、あんのやろ...」

翔「え?」

智「あ、いや」


どうやら信じてくれたみたいだけど、何故か少し眉を寄せてる。


翔「でもどうして? あの肌守り、一体なんなの?」

智「や、俺もよくわかんないけどね...」


智くんも分からないと言うし、俺にだってさっぱり分からないんだ。
だけどあの時、俺は持ってなかったのに。


翔「今は...? なにか、感じる?」

智「え、今持ってるの?」

翔「いや、持ってはいないけどさ。この間もカバンに入れてたのにあんな事になったから」

智「カバンに...?」


確かに持っては行っていたが、相葉くんから返して貰ってカバンにしまったんだ。


智「翔くんに香りが残ってたのかな…」


残り香と言うには説明がつかない。
だって朝からカバンにしまって、身には着けていなかったんだから。
残り香と言うなら、相葉くんにつくのが妥当だろう。


翔「今も、香りついてる...?」


付いている筈は無いけど。


あの時の智くんに何が起こっていたのか知りたくて、俺はそんな事を聞いた。





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