神様の願い事
第6章 名探偵
「ほおおお、そんな事が...」
智「マタタビ仕込むとか何考えてんだよ、っとに最悪だよもぅ」
女子高生ノリはあまり得意では無いけど、じいちゃんに抗議をする為、俺は事の終始を話した。
「最悪だったかの?」
智「決まってんでしょ。今日だってヤバかったんだよ? あの香りマジで凄いんだから」
「今日?」
智「さっき翔くんちに行ったんだよ。したらもう香りがさ...」
「ほお?」
何をすっとぼけてやがるんだ。
お前のせいだお前の。
「う~ん、おかしいのぅ」
智「なにが」
「マタタビはとっくに捨てたんじゃけど」
智「は?」
いやいやあるだろ。
翔くんだって持ってはないけど家にあるって言ってたし。
なによりあの香りが。
智「え、あるじゃん。だって翔くんに香りが染み付いてんだよ?」
「そんな筈は無いぞよ? 中身はちゃんと入れ替えておいたんじゃもん」
智「...いやいや嘘だよそんなん」
「あいつは根が真面目じゃからの。お前さんの様子がおかしくなってしまった事を、申し訳なく思っておる」
智「へ」
「だから持ってちゃいけないんだと引き出しにしまい込んでしまったから。...それ程までに思ってくれているなら、いらぬ世話を妬いてしまったかなと思ってな」
智「...どういうこと?」
「だから中身は只の木屑にしておいた」
智「うん...?」
木屑だと? いつから?
だったらあの、俺を惑わせるあの香りは?
智「...今日はもう木屑だったの?」
「そうじゃが?」
智「...だったらやっぱ、マタタビって凄いんだよ」
「は?」
智「残り香でも強烈だって事じゃん」
なるほどな。だからか。
木屑なのにあんなにドキドキしてしまうのは、部屋に残った香りが強過ぎたんだ。
智「ああ、だからこの間も。やっぱ服に染み付いてたんだ」
「いやいや」
だってそうじゃなければなんて説明すればいいんだ。
俺がドキドキしたのは、翔くんに惑わされたからとでも言えばいいのか。
「はぁぁぁぁ。どんだけ馬鹿なんじゃろ…」
そんな訳無いだろう。
だってもしそうとするなら、俺は翔くんの事が好きという事になるじゃないか。