
神様の願い事
第7章 謎のオバケ
ギシ...
ベッドの軋む音がする。
翔「...本当だ。心臓も、凄い」
ほんの少し出来ていた隙間を、翔くんは埋めた。
智「だから、言ったじゃん...」
ピッタリと張り付いた胸と胸。
その胸の振動で、俺の鼓動を感じ取る。
翔「どうしてこんなに...?」
智「ど、どうしてって」
そんなの言えるか。
互いの身体の間に服が挟まっているというのにこの始末だぞ。
翔「聞いたよ」
智「なにを...」
翔「迫られたんだって? ニノと松潤に」
智「あれはだから...、翔くんと同じだよ」
そんな話なら、何もこんな体勢でしなくてもいいじゃないか。
翔「言ってたよ? “あの人なんの緊張感も無いから面白くない”って」
智「は?」
面白くなくて悪かったな。
翔「なのにどうして今は、こんなに緊張してるの...?」
んでその話に戻るんだ。
翔「キスだって、見事にスルーされたって」
智「そりゃ...、翔くんも言ってたじゃん。アイツらは仲間だからって」
翔「だけど俺は」
もうヤバいんだって。
こんな密着した姿勢で、そんな低い声を響かせてくれるな。
翔「俺とは、キスしたよね…?」
背けた顔にかかる息が、俺の耳を撫でて。
翔「皆には緊張しないのに、俺に緊張するのは何故?」
何故って、だからそんなの言えないんだって。
翔「俺は皆と、何が違うの...?」
その質問の意味はなんだ。
まさか、俺を見抜いているのか。
智「そ、んなの言ったら翔くんだって」
翔「俺?」
智「ニノにはキス出来なかったのに、俺とは...」
“キスしたでしょ”
翔「俺とは...、何?」
智「いや、なんも、ない...」
言えなかった。
そんな言葉を口にしてしまったら、歯止めが効かなくなりそうだったから。
翔「“俺とは、キスしたのに”?」
そう思い止まって、折角言葉を飲み込んだのに。
翔「そんな理由、知りたい...?」
刺さるような視線に耐えきれず、俺は逸らした目を翔くんに向けた。
怯えるように、チラッとだけ、翔くんに向けたんだ。
だけどその目はすぐに捕えられて。
見なきゃよかったと後悔した。
だって、その大きな瞳が俺を飲み込むから。
