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神様の願い事

第1章 不思議な噂



翔「ん…」


あれ。ここ何処だ。

智くんは?
確か一緒にメシを喰って、んで楽しくて酒を呑みすぎて…。


智「むにゃ…」


なんか今可愛い声が聞こえた。
俺の耳元で温かい声が聞こえたんだ。


智「んん…、しょおくん…」


え。


翔「さ、智くんっ?」


なんかぽかぽかすると思ったら、智くんが俺に絡まってる。


ん? んん?
ちょっと待って。整理しよう。

確か酒を呑んで。
呑んで…。
ああ駄目だ。全く覚えてない。


翔「智くん…?」

智「すぴー」


寝てる。
スヤスヤとそれはそれは気持ち良さそうに寝てる。


翔「あ、やべ…」


俺のムスコが。
いや、生理現象だ。寝起きだしこれは仕方無いんだ。
決して智くんの寝顔に欲情したとかそんなんでは無い。
断固として無いんだ。


智「しょぉ…く…」


モゾモゾと動く俺をきゅっと掴む。
何処に行くんだ、離れないでとでも言うように智くんは俺を掴んだ。


翔「そんな心配しなくても離れないよ…」


智くんの髪を撫でた。
明るいその髪はふわふわして、とても触り心地が良かった。


智「ふふ…」

翔「起きてるの…?」


問いかけに反応は無い。
寝てるのに撫でられた事に反応して笑っただけか。


翔「可愛いな…」


こんなに可愛かったっけ。
見慣れた筈の寝顔も、今日はやけに可愛く見える。


この人はいつもふわふわしてる。


ふわふわな笑顔にふわふわな髪。
ふわふわの頬に、そのふわふわした雰囲気。

ぼーっとした表情も、寝起きのぽけっとした顔も。

いつもふわふわしてるんだ。


今だって当たり前の様にふわふわな寝顔を俺の前に晒け出す。


翔「智くん…」


そんなふわふわの貴方が悪いんだ。

俺の隣で無防備すぎるから。


翔「寝てるの…?」


小さな寝息を立てるその唇だってふわふわしてるんだろうか。


翔「寝てるよね…」


確かめたくなったとしても仕方無いんだ。


俺に無邪気に絡まる貴方が悪いんだ。




俺は、悪くない。







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