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神様の願い事

第7章 謎のオバケ

《sideO》



智「じいちゃんのせいだかんなぁぁぁ」


食事会も終わり、俺はなんとか自宅に帰ってきていた。


「なにがじゃ」

智「こんな気持ちに気付かせるからじゃんか」

「は?」

智「酒のせいにして誤魔化したけど、やっぱ俺ダメだわ...」


心配して俺を送ろうとするから、“ひとりで帰れる”と駄々を捏ね、逃げるように帰ってきた。


「まあお前さんは、好きになると“好き好き”言いたいヤツじゃからのう(笑)」

智「笑ってんじゃないよ」

「どうして素直にならない?」

智「だからぁ。俺はじいちゃんとは違うの」


ケースが違うと言ってるだろ。お節介にも程があるんだ。


智「言える訳ないつってんじゃんか…」


じいちゃんは相思相愛だったのかもしれないけど。


智「そもそも恋愛対象に見る事すらおかしな話なんだから」

「それならワシと同じじゃが」

智「へ 」

「だから、同じじゃ」

智「え...? まさかじいちゃんの好きな人って、男だったり...?」

「そうじゃよ?」

智「マジで」


ずっと女性だとばかり思っていた。


「ワシも、お前さんと同じ事を感じでおった。まぁ、死ぬ間際まで“好き”という感情を誤魔化しておったが」

智「...だけど、言ったんだ?」

「まぁ、もう死んじゃうからの。どうせなら捨て台詞程度に言っておくかと(笑)」

智「んで、向こうもじいちゃんの事?」

「ふふ、だから“何やってたんだろな俺達。勿体無い時間を過ごしたね”なんて笑いながら言われたんじゃよ」

智「ああ、それが瀕死の時か」

「そう。酷いヤツじゃ(笑)」


俺もそこまで行けば、素直になれたりするんだろうか。


「だからな? まだまだ時間のあるお前さんには、勇気を出して欲しいと思ってるんじゃよ」

智「え、でも俺は...」


だけど仲間だし。仕事とか、いろいろあるし。


智「駄目なんだよ。それは、言っちゃ駄目なんだ」

「我慢出来ないくせに...」

智「はぁ? だからそもそもじいちゃんが」

「ちちんぷいぷい、彼奴の部屋に飛んで行けえぇぇ~」

智「え」


目の前の鏡が淡く光り出す。


智「ちょ、ちょっとじいちゃんっ」


変な呪文のせいで、光る鏡はあっさりと俺を吸い込んでしまった。





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