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神様の願い事

第8章 半猫人




和「へえ。じゃあ、あのおじいちゃんずっと大野さんちに居るんだ?」


諦めの色を見せた大野さんは、俺達の質問にも漸く答え出していた。


智「居るって言うか、しょっちゅう声が聞こえるだけだけどね」

潤「話とかするの?」

智「うん」

雅「リーダー怖くないの? あのおじいさんオバケなのに」

智「え?」


大野さんは、チロッと相葉さんに目を向けた。
すると潤くんが、“こらっ”と言いそうな口をしながら、相葉さんの足を踏んでいた。


智「知ってるの? オバケだって」

潤「え、リーダーも知ってたの? 見た事無いんでしょ?」

智「見た事無いからわかるんじゃん」


なんだ。オバケだという事は知ってたのか。


雅「てか、リーダー耳出てるよ?」

潤「ほんとだ」


“ん?”と上目遣いで自分の頭を撫でて、“もういいや”と姿勢をズルリと崩す。


潤「良くないでしょ」

智「だって仕方ないじゃん」

和「気合い入れたら治るんでしょ?」

智「そうだけどさぁ...」


ズルズルと姿勢を崩して、とうとう相葉さんの隣で寝転んでしまった。


智「お前らといると気が緩むんだよ」

雅「俺らのせい?(笑)」

智「なんか和むって言うか、安心しちゃうんだよね…」


耳を生やして、とろんとした瞼を重そうに持ち上げる。


潤「ったく...」


“仕方ないな”なんて呟きながら、潤くんも満更では無さそうな顔をして。


智「ふふ、擽ったい」


俺も思わず出た手で、大野さんの耳を撫でてしまっていた。


雅「また寝るの?(笑)」

智「ん~、ちょっとしたら起きる」


もう寝る準備万全じゃねえか。


智「皆はもう終わりでしょ?」

潤「そうだよ。だから、耳 引っ込めとかないと」

和「ハイ、気合い入れて?」

智「んん~...」

潤「微妙(笑)」


なんとか引っ込めた耳は、すぐにでも出てしまいしうだから。


和「じゃあ俺ら帰るから、気をつけなよ?」

雅「スタッフさんとか入ってくるかもしれないからね?」


だから念入りに、言葉を残した。


潤「翔さんもそろそろ来ると思うから」

智「うん」

雅「来たらちゃんと起きてね?」

智「わかった」


俺らの心配をよそに大野さんは大きな欠伸をする。


半魚人ならぬこの“半猫人”は、俺にはどこまでも呑気に見えた。


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