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神様の願い事

第8章 半猫人

《sideA》



和「はぁ、いつになったら治るんだろ」

雅「リーダー?」

和「うん」


俺の隣で、ニノは少し唇を尖らせてまるい瞳を向ける。


和「ホントになんも分かってないのかな…」


その茶色く光る瞳はガラス玉みたいで。
車窓から射し込む光を受けて、キラキラしてる。


雅「心配だね?」

和「うん...」


俺の推理を聞いて、ニノは珍しく俺を褒めてくれた。
“凄いよ相葉さん、天才だよ”って、その時もキラキラした瞳を向けて。


和「その、変わる瞬間とか見てないから実感は無いんだけど」

雅「うん?」

和「このままだと、本当に猫になっちゃいそうでさぁ...」


俺を思わずとも、こんなにキレイな目をして語り出すし。


雅「大丈夫だよ」

和「ほんとに?」

雅「うん、大丈夫。リーダーは猫になんてならないよ」


運転する俺の横顔を、その瞳で凝視しているのが分かる。


和「相葉さんが言うんなら、大丈夫な気がしてきた…」

雅「うん」


たまにこうやって、しおらしい事を言ってくれるし。


和「やっぱアンタすごいよ」

雅「え?」

和「大野さんじゃないけど、なんか、俺も安心する...」


コイツがこんなに柔らかい声を出すって、皆は知ってるのかな。



雅「俺も安心するよ?」

和「え?」

雅「こうやって俺の腕に閉じ込めると、ね...」


着いた駐車場で、ニノのシートベルトを外しながらそっと包んでやった。


和「ふふっ」

雅「ニノも安心する?」

和「するよ。相葉さんの体温が伝わって、凄く安心する...」

雅「そっか...」


たまにニノは、俺の事を“二重人格”と言うけど。


雅「じゃあもっと、安心させてやろうか...?」

和「え?」


“知らなかったよ相葉さんがそんなだなんて”なんて言われた事もあったけど。


雅「俺の体温、もっと伝えてやるよ…」


だけど俺は二重人格な訳じゃない。
いつもそんなんじゃ無いんだ。


和「ちょ、相葉さ」

雅「すぐ、熱くなっちゃうよ?」

和「っばか、こ、ここじゃ」


こんな時にしか、こうはならないよ。


雅「じゃあニノの家、いこっか…」



お前の前でしかこうはならないんだって事を、しっかりと受け止めさせてやらなきゃ。




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