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神様の願い事

第8章 半猫人

《sideO》



似合ってるって、なんだそれ。


翔「何処か行く?」

智「ん~でも、出ちゃいそうだな…」

翔「そっか。じゃ、デリバリーでいい?」


外はすっかり真っ暗で、笑ってたら腹が減っている事に気がついた。


智「ごめんね? 気、遣わせて」

翔「いいよそんなの」


ここで別れたところで結局二人とも飯を探して彷徨うんだから、どうせなら一緒に食わないかと翔くんは言った。

ここに誘われた時点で感じていた翔くんの怒りも既に消え去り雰囲気も良かったし、それならと俺もその誘いに乗った。


翔「で、それって勝手に出ちゃうものなの?」

智「普段は気をつけてるけどね」


でも俺の中の猫が出ちゃったし。


翔「今は?」

智「もうバレちゃったし、気が緩んじゃって」

翔「そっか(笑)」


だからデリバリーという便利な手段に出た。


翔「でも大変じゃない? だって貴方いつもぼーっとしてるのに」

智「そんな事ないよ(笑)」

翔「まぁでも、そっか。楽屋でも出してなかったしね。気が緩んだだけか(笑)」


俺の名でこの姿を晒すのは気が引けると言うか、ちょっと気まずいななんて思った。
だけど翔くんはこの姿を見慣れているのか普通に接してくる。
それにホッとして、和んでしまって。


智「緩んだのもあるけど」

翔「けど?」

智「なんか、安心感みたいなの? そんなのがあって」

翔「安心感?」

智「ん、気、張らなくていいやって。ほっとする...」


和んだついでに、うっかりと口走った。


翔「ふふ、そっか」

智「ん」


そのうっかり出してしまった台詞が妙に恥ずかしくて、何を言ってんだと思う程に顔に熱が集まる。


翔「嬉しいよ、安心してくれて」

智「え?」

翔「なんか、頼りにされてる気分って言うの? 凄く、嬉しい」


俺の顔をもっと熱くさせようとしているのか、翔くんは更に恥ずかしい台詞を並べやがる。


智「なに言ってんの...」

翔「え、そこは笑顔を返すトコじゃないの?」


俺の顔が真っ赤なのを知っててこんな事を平気で言うし。

たまったモンじゃない。


智「嘘だよ」


だけど散々騙したし嘘もついたから、だから申し訳ないから。


智「本当は、頼りにしてる...」



たまには本音も、言ってやるよ。




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