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神様の願い事

第8章 半猫人

《sideN》



和「ねえ、本当に大丈夫なの?」

智「なにが?」


仕事終わりに大野さんを捕まえた。


和「今日ずっと出てんじゃん。そのうち猫になっちゃうんじゃないの?」

智「まさか(笑)」


大野さんは笑ってるけど、俺は真剣だ。
翔さんにもバレちゃったからもう隠す必要無いんだと、楽屋でも耳や尻尾は出っぱなしだった。


智「大丈夫だよ。完全な猫には最近ならないから」

和「そうなの?」

智「うん。なんか“呼ばれる”感覚っていうの? アレも無い」


どうやら最近、“神様”として出動する事も無くなってきていると言う。


智「まあ、神様でもなんでも無いしね(笑)」

和「それはまぁ、そうだけど」


やっぱり気が緩んだだけなのかな。
だけどそれにしたって、出すぎやしないか?


智「言ったでしょ? お前らといると安心するんだって」

和「う~ん」

智「大丈夫だよ。お前らの居ないとこでは出してないから」

和「そうなの?」

智「そうだよ(笑)」


それならまぁ、いいんだけど。


和「でもやっぱさ、早く治すに越したこと無いじゃん?」

智「うん」

和「見つけたの? 本当のシアワセ」

智「う~ん...」


まだわかんないのか。
ったく、本当鈍いにも程があるぞ。


智「たぶんアレだよ」

和「アレ?」

智「翔くんの、事」

和「お」


鈍いとか言ってごめん。
そりゃそうだよな、こんなにわかりやすいのに気付かない方がおかしいってモンだ。


智「お前らはシアワセじゃん?」

和「ん? うん」

智「で、松潤も、仕事も私生活も順風満帆で言う事無いじゃん?」

和「そうだね」

智「て事はさ、後は翔くんだけなんだよ」

和「へ?」


なんだか俺の予想していた台詞と違うような。


智「後は翔くんさえ幸せを掴めば、俺も幸せになれる」

和「は...?」

智「だってそうじゃん? 俺の幸せは、お前らが楽しく過ごしてくれる事なんだから」

和「はぁ」


前言撤回だ。
まさかこれ程とは。


智「翔くん、早く幸せになってくんねえかな…」



お前のシアワセはどうしたんだよ。


そこが抜けてるって事に、何故気付かないんだ。





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