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神様の願い事

第8章 半猫人

《sideA》



智「あいばちゃん...」

雅「ん?」


珍しくリーダーが俺を誘った。


智「今、シアワセ?」

雅「ふふっ、うん、シアワセだよ? リーダーのおかげだね」


酒のペースも少し早くて、早々にカウンターに頬を乗せてる。


智「そか…、うん、よかった」


そんな事を言うリーダーは、なんだか寂しそうに見えて。


雅「...リーダーは? 今、シアワセじゃないの?」

智「幸せだよ」


だけど未だに猫が潜んでいるし。


智「あん時さ、辛かった?」

雅「ああ、ニノが他の人を好きかもしれないって思ってた時?」

智「うん」

雅「そりゃあね。ニノの笑顔を見る度、泣きそうだだったよ(笑)」

智「やっぱそうか...」


ボソボソと話す事はよくあるけど、今日は声のトーンも落ちていて。


雅「どうしたの? 何か、辛い事でもあった...?」

智「いや...」


こんな時はどうやって励ませばいいんだっけ。


雅「駄目だよ一人で悩んじゃ」


あの時神様のリーダーは、なんて言ったんだっけ。


雅「素直になるのが一番なんでしょ?」

智「あ...」


一人でくよくよ悩んで、悪い方に悪い方にと考えるから。


雅「大丈夫。俺がついてる」

智「あいばちゃん...」


だから悩みは一人で抱えちゃ駄目なんだ。
誰かに話して、打開策を見つけなきゃ。


雅「俺らがついてるでしょ?」


その言葉に漸く顔を上げたリーダーは、泣きそうな顔をしてるけど。


雅「リーダーのシアワセ、ちゃんと見付けてあげるよ」

智「ふふ、うん...」


だけど、眉を下げながらでも笑うんだ。


智「ありがと。ちょっと、元気出たわ...」


風も無いのに髪が少し揺れる。

その中で、出そうになってる猫耳を堪えているのがわかる。


智「ふは、俺、もう十分幸せなんだけどな…」


そんな事を言ってもらえるなんて、俺はなんて幸せ者なんだとリーダーは笑う。

だけど、そんな幸せ者でもまだ見つけて無い事があるんだと、その出そうな猫耳が主張してるんだ。


雅「ふふ、こんなモンじゃないよ?」

智「ええ?(笑)」



それを手に入れた時、リーダーはどんな顔をするんだろうな。




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