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神様の願い事

第1章 不思議な噂



智「明日仕事は?」

翔「午後からだよ」

智「んじゃもう遅いし泊まってく?」


トイレで頭を冷やそうと思ったけど、智くんがドアの前で待っていたから俺はすぐに出た。
そんな頭の冷えきらない俺に智くんは言う。


翔「え? でも迷惑なんじゃ」

智「俺は問題無いよ?」


俺をソファーに座らせキッチンに足を運んだ智くんが、俺を見て微笑む。


智「俺も明日午後からだから」


ハイと俺に水を差し出し隣に座った。
その智くんの重みでソファーは少し沈み、俺もつられて揺れる。


智「ふふっ、そんなフラフラなのに帰せないでしょ?」


揺れた俺の肩を掴み、智くんは俺を覗き込む。

顔を少し傾けてふにゃっと笑うんだ。

その柔らかい笑みに俺の心臓が跳ねる事を、この人は知っているのだろうか。


智「どしたんだよ。顔、ヘンだよ(笑)?」


智くんに見とれて動けなくなってしまった俺を見て笑うんだ。
俺のこの顔が自分の仕業だとも思わずに、無邪気な声を聞かせる。


智「酔っ払った翔くんて本当面白いよね」


さっきのキスなんて無かったかのように普通なんだ。


智「いつもの翔くんも格好いいけど」


俺が智くんの寝顔に欲情してしまった事なんて気付かないんだ。


智「こういう翔くんも好きだな…」


目尻に皺を寄せて無防備な笑顔を晒け出す。
小首を傾げ、ふにゃふにゃと笑うんだ。


翔「好き?」


貴方の言う好きは


智「ふふっ、うん。当たり前でしょ」


俺の言う好きとは違うけど。


翔「俺も好きだよ」


だけど笑ってくれるでしょ?


智「ふふっ、なんだよ。気持ち悪いな」


喜んでくれるんでしょ?


翔「そっちが先に言ったんだよ?」

智「あれ、そうだっけ。ふふ、俺キモいね」


貴方の好きとは意味が違うけど、俺の好きを聞いて智くんは笑うんだ。



ふにゃふにゃと少し恥ずかしそうに、目を伏せながら。






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