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神様の願い事

第8章 半猫人

《sideA》



雅「どうしてこんな事が出来ないんだろうね」

和「こんなって…?」

雅「簡単な事じゃん」


俺は人の居ない隙を見て、ニノの唇を塞いでいた。


和「俺って、簡単なの...?」

雅「馬鹿、違うよ」


分かっているのかいないのか、俺を困らせようとしているのかいないのか。
ニノはたまに“わからないよ”と言う。


雅「素直になればいいだけの事なのに...」

和「それが、出来ないんじゃん...?」


会話もしたいけど、キスもしたい。
顔も見たいけど、温もりも感じたい。


和「アナタはわかり易かったけど…」


だから俺は今、自分に素直に正直に、ニノにキスをしている。


雅「猫の時は分かったような事言ってたくせにさ」

和「ん...」

雅「自分の事となると、途端に駄目だねリーダーは」

和「大野さんを、バカにすんじゃないよ...」


目を閉じて、俺の温もりを素直に受け止めるニノはとても可愛い。

薄目を開けて、俺に逆らうニノもすこぶる可愛いんだ。


雅「こんな可愛いのに...」

和「え?」

雅「こんな、愛しいって思えるのに」

和「なに、急に...」


勿体無い。
無駄な時間が、本当に勿体無いと思える。


雅「早く、素直になればいいのに」

和「うん...」


なんとかしてやりたい。
出来ることなら、俺に神様の座を譲って欲しいところだ。


和「俺が神様になったら、すぐにでも結び付けてやるのに」

雅「え...?」


考えてる事も同じときた。

それがこんなに嬉しい事なんだって、全身全霊で伝えたい。


和「好きな人の温もり、こんなに気持ちいいんだって事」

雅「教えてあげたい...?」

和「ん...」


最高だ。

最高だよ。


雅「明日、動く仕事無いよね?」

和「無いけど...」


チラッと俺を見て、瞳を揺らす顔なんて最高以外の何者でもないのに。


雅「じゃあ今晩、俺ん家に来な?」


俺の言葉を聞いて、頬を赤らめるとか。


言ってるこっちだってその顔ひとつで、心臓が破裂しそうなんだぞ。





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