神様の願い事
第9章 ねこのきもち
『ねこになつた』
なんだこのメール。
アラームが鳴るより前に、枕元に置いていたスマホの振動音で目が覚めた。
なんだよこんな朝っぱらからとそのメールを開くと、とても大人が打ったとは思えない文字が並んでいた。
和「“どうしたの?”っと...」
すぐさま返信したが、暫く経っても大野さんからの返事は無い。
和「なんだよ、何かあったんじゃないのかよ」
こんな早朝からのメールだし、何かあったのかとすぐに返信したのに。
待てどもスマホは鳴らず、痺れを切らした俺は電話をする事にした。
プルル、プルル...
和「出ねえな」
諦めて切ろうかと思ったその時、呼び出し音が途切れた。
和「あ、もしもし? 大野さん?」
『にゃ!』
和「へ?」
『にゃにゃにゃっ!』
俺、どこにかけたんだっけ。
画面を見直しても、かけた先は“大野智”と出ているし。
和「大野さん...?」
『にゃおぅ~ん。んにゃ...』
あ、そうだ。今日か。
和「猫になったの?」
『にゃっ』
マジか。
本気の猫じゃねえか。
和「え、声は? 喋れないの?」
『にゃおぅん...』
あんのジジィ。だから不安だったんだ。
和「ちょ、待ってて。すぐ行くから」
『にゃんっ』
いっつもヘラヘラして、耳が出ようが尻尾が生えようが微動だにせず。
そんな大野さんが珍しく焦った。
困り果てて俺に助けを求めたんだ。
和「あっもしもし潤くん?」
大丈夫、今日だけだから。
和「そうなんだよ、あのジジィ失敗しやがった」
絶対元に戻すから、そんな情けない鳴き声出さなくていいよ。
和「じゃあ頼むよ。相葉さんもそっちに向かわせるから」
着替えながら電話を切ると、俺は顔も洗わずに大野さんの元へと走った。