無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

暴れ倒していた大野さんは急にその動きをピタリと止めた。


和「なに...」


動いていた姿のまま完全に停止して、宙を見る。


和「怖いんだって。なんも無いとこ見るんじゃないよ」


何か人間には見えないモノでも見ているのか。
少し背筋がゾクッとした瞬間、玄関のチャイムが鳴った。


ピンポーン


和「あ、きっと潤くんと相葉さんだよ」

「にゃっ」

和「え」


俺の言葉を聞くや否や、大野さんはインターホンに向かってジャンプした。


ピッ


潤『あ、俺』

和「ああもぅ、じっとしてなって。俺が開けてやるから」

「にゃんっ」


腰を上げようとする俺の肩にピョンと飛び乗り、大野さんは一緒に玄関まで来る。


ガチャリ


雅「随分とまた…」

和「でしょ？」

潤「これ、本当にリーダー？」


今までは、猫の姿でもなんとなく人間らしさというものがあったんだ。
だけど今目の前にいるのは只の猫。


和「ほら、危ないでしょ。降りなよ」

「にゃ...」


俺の肩越しに、潤くんと相葉さんを見る。
まるで“コイツらなんなんだ”と様子を伺っているように見えた。


雅「ははっ、随分となついたね？」

和「そう？」

潤「猫って肩に乗るんだ」

雅「まだ子猫だしね。甘えてるんだよ」

潤「へぇ...」


そんな事を言われると、俺だってちょっとした優越感を得て。


和「ほら、潤くんと相葉さんだよ？ 忘れた訳じゃ無いでしょ？」

「にゃん...」


俺の肩に乗る大野さんを撫でようと潤くんは手をかざしたけど。


雅「ちょっとビビってるね」

潤「え」

雅「猫は大きい人とか声のデカいヤツは苦手なんだよ」

潤「そんなデカくないでしょ」

雅「でもまぁ、この中だとニノが一番安心するんじゃない？」

潤「え、リーダー、俺だよ？」

雅「ほら、その威圧感(笑)」


忘れた訳じゃ無いだろうけど、猫の本能というものが働いているんじゃないかと相葉さんは言う。


和「本能？」

潤「成功しすぎたんだってよ？」

和「ったく...」


まあでも一日で元に戻る保証はあると言うし。


それならと、俺達は安心して翔さんの家に向かった。